トップ画像は、東滝川駅構内のキハ40-1778。

滝川駅から81.6kmで金山駅(54世帯94人)。金山と言えば名古屋に転勤していた筆者はJR東海東海道本線・中央本線の金山駅(4,944世帯8,448人)を想起してしまいますが、こちらは空知郡南富良野町”字(あざ)”金山です。住民も約100分の1。富良野の南側、日高山脈の分水嶺、狩勝峠を水源として太平洋に注ぎ込む空知川が削った谷間にわずかに開けた平地に金山はあります。

※2014年7月撮影

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根室本線はここまで南下してきましたが左にカーブして方向を東に変えます。空知川に1967年(昭和42年)に造られた金山ダムを橋梁で渡ります。この金山ダムで出来た人造湖金山湖によって根室本線は金山駅と東鹿越駅間が新線に付け替えられています。また金山駅から6.8kmにあった鹿越駅(東鹿越駅まで6.4km)は、新線に移設後は仮乗降場・信号場になりましたが1986年(昭和61年)廃止されました。

※2014年7月撮影

金山ダムでできた人造湖の金山湖は、周囲をエゾマツ、トドマツの原生林に覆われた天然湖の様な佇まいをみせ、幻の魚「オショロコマ」「イトウ」などが棲息しています。冬は凍結した氷上でワカサギ釣りも盛んです。

※2014年7月撮影

金山駅から13.2kmで金山湖岸にある東鹿越駅(2世帯4人)です。住民は少ないですね。1941年(昭和16年)信号場として設けられました。1946年(昭和21年)駅に昇格しました。駅舎はありますが、1997年(平成9年)無人化されています。駅舎の向こう側に金山湖が広がっています。

※2014年7月撮影

2016年(平成28年)JR北海道は、島ノ下駅(2017年廃止・信号場化)~東鹿越駅間を廃止する意向を地元に伝えていました。しかし、8月に台風10号による豪雨で当駅から落合駅間が不通。代行バス運行になっています。東鹿越駅は暫定的な終着駅になったことで廃止にはなりませんでした。しかし当駅から新得方面復旧の目処はたっていません。

金山湖に沿って進みます。

※2014年7月撮影

東鹿越駅から4.0kmで幾寅駅(381世帯804人)。金山湖東側に広がる町で町立野球場もあります。1902年(明治35年)開業。

※2014年7月撮影

1999年(平成11年)に公開された映画『鉄道員 ぽっぽや』で主人公(乙松=高倉健)が務める幌舞駅(廃止寸前の幌舞線の終着駅という設定)のロケが幾寅駅で行われました。オリジナル駅舎を改造した古く見えるロケセットの駅舎や車両などが残っていて多くのファンが訪れていました。幌舞の駅名標の「ほ」の字が見えますが、分かりますか?

※2014年7月撮影

コロナ・ウィルスで急逝した志村けんさんが生涯で唯一出演した本編映画でした。高倉健さんが演じる寡黙な駅長が雪のホームで列車を見送る毅然とした姿を思い出します。

幾寅の東側に広がる耕地。稲穂が実っています。

※2014年7月撮影

現在不通の区間が続きます。廃線の可能性が極めて高いので少しでも写真を残しておきたいのですが、2014年夏の筆者には廃線など予想もできませんでした。残念ですが写真があまりないのです。次は落合駅です。

※2014年7月撮影

※筆者は既にコラムなどで今回の青春18きっぷ鉄道旅の写真を度々使用しています。重複していますが、御容赦ください。

※価格などは2014年当時のものです。

※駅名の後の()内は、駅の周囲半径500mの円内に住む住民数です。(2010年国勢調査)

(写真・文/住田至朗)