上川早朝

JR北海道の経営を苦しめている最大の要因は言うまでも無く人口減少とモータリゼーションである。しかし東北、信越の豪雪地帯と同じように大変なのが雪の中での保線・除雪だ。

筆者は石北本線が好きで何度も上川から網走までの各駅停車に乗っている。冬期間、朝早い列車には保線員の方々が乗っていて旅客扱いのない信号場でスタッフの交代が行われるのを何度も見た。

※トップ画像は上川駅、06:23発の網走方面行キハ40。

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今回は、まず中越信号場で保線員の方が交代。運転席横のドアにハシゴをかけて列車に出入りする。
中越信号場

中越信号場は1929年(昭和4年)に中越駅として開業。現役時代は相対式ホーム2面3線の駅で転車台なども設置されていた。しかし周囲から住民が居なくなってしまったため、2001年に駅業務をやめ信号場に降格。国勢調査のデータなどから見る限りは周囲には廃屋しかない様だ。人口はほぼゼロ。

上越信号場。同様に車両のドアは開閉されず、保線員の方々は乗務員扉にハシゴをかけて交代していた。
上越信号場

こちらも元は駅だが、さらに古く、1975年(昭和50年)には旅客扱いを停止、信号場になった。村上春樹の『羊をめぐる冒険』の舞台ではないが、本当に人口希薄なエリアなのだ。

余録。昨年(2016年)3月に駅を廃止した旧白滝駅の駅名標。枠だけ残っている。
旧上白滝駅

結果的に上川〜白滝間は

・「天幕」(2001)
・「中越」(2001)
・「上越」(1975)
・「奥白滝」(2001)
・「上白滝」(2016)

・・・と、5つもの駅が廃止された。

そのため、この間はJRでは最長の37.3kmという駅間になり、たった1駅間なのに53分もかかる上、運賃も1駅行くのに840円。※もちろん新幹線の駅間を除いた在来線の駅間。

これは、距離ならば、中央線の東京駅から立川まで(37.5km)にほぼ等しい。

この間が、たった1駅というのは、乗っていて不思議な気分になる。

宗谷本線の筬島〜佐久間も1977年(昭和52年)に神路駅が廃止され、駅間が18.0kmと長いが、それでも上川〜白滝間の半分だ。

いずれにしても、ほとんど人の住まないエリアで、しかもすさまじい寒さの中、保線・除雪の作業が営々と続けられている。人力で行われるのだから、たいへんだ。交代する保線員さんの姿を見る度に頭の下がる思いがする。

※写真は全て筆者撮影のものです