E257系のいい写真がないのでサムネは185系にしてみました

今日はお休みの日なので溜まっていた原稿を整理しつつE257系「踊り子」号の取材に行ってきました(休みとは……)詳細は記事に譲るとして、「踊り子」用のE257系の爽やかな青はいいですね。このあいだ秋田車両センターで見た青と白の帯入り電気式気動車を思い出します。

「踊り子」といえば世間的には「踊り子」号の元ネタになった方、すなわち川端康成「伊豆の踊子」をイメージするのではないかと思いますが、個人的には川端なら「伊豆の踊子」より「青い海黒い海」です。夢遊病者の手記のようなどうにもすっきりしない短編ですが、言葉選びが病的に美しく、女性向けのジャンルで二次創作してる物書きのような読者層にはわりと刺さる。深々と刺さる。

“けれども、この人形は清らかに透明でした。そしてそのからだを透き通して、白馬の踊っている牧場や、青い手で化粧している月や、花瓶が人間に生まれようと思って母とすべき少女を追っかけている夜や、そんなふうないろんな景色が見えるんです。”

“「部屋の中に私の息子を隠しているので、私を通さないと言うのか」
「どうぞご自由におはいり遊ばせ。人間の頭には鍵がございません。」
「しかし、生と死の間の扉には?」
「藤の花の一房でも開くことが出来ます。」”

文「壇」好きに読ませると「芥川と一緒に関東大震災の被災地を回ってたときに病んじゃったのかな」「失恋でこんだけ書けるのは本物」とかそういう感想になりそうですが、モノを書く人間ならことばのキレに圧倒されるはず。文庫で「伊豆の踊子」を買うとこちらも収録されてたりするので、本屋さんで見つけた暁には是非。

文:一橋正浩