【前回】北海道新幹線札幌延伸でどうなる? 函館本線・山線の旅(2)
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2030年度の開業を目指して北海道新幹線札幌延伸のための工事が進められています。開業と共に並行在来線はJR北海道の経営から分離されるため、沿線市町村は鉄道のあり方を協議しています。特に小樽~長万部は乗客が少なく、廃止か存続か揺れ動いています。10年後の札幌開業を控えた沿線の現状を全7回にわたって紹介します。(撮影は全て2020年8月)

果実の香り漂う 「仁木駅」

沿線を代表するフルーツ王国

1879年に旧徳島藩の家臣、仁木竹吉ら360余名が入植し、仁木町の礎を築きました。翌年に竹吉の姓に因んで仁木村が成立しました。果実の栽培に適した気候で、大正時代にリンゴの栽培を開始。今はさくらんぼ、いちご、ぶどう、桃など数々の果実を栽培しています。

住民によって駅はきれいに保たれている

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仁木駅は1902年12月10日に開業しました。1984年3月31日に無人駅になりましたが、町の人たちが花壇を手入れするなど大切にされています。駅の外壁に名産のくだものの写真が飾られ、駅前には町内のあちこちにある果樹園のマップが掲げられています。

もぎたての果実のおいしさは格別

駅からすぐの国道5号線沿いに果物などの直販所が並んでいます。「おなか一杯果物を食べたい」という人には「くだもの狩り」がおすすめ。リーズナブルな料金で季節のフルーツが楽しめます。旅の途中にこうしたプランを取り込むのも良い思い出になります。仁木の味覚を存分に味わってください。

まるで山小屋のような雰囲気 「然別駅」

木の香りが漂う駅舎

然別駅は1902年12月10日に開業しました。地名はアイヌ語の「シ・カリ・ペツ」(自分を回す川)に由来していると言われています。渦を巻いている川でもあったのでしょうか。かつては貨物を扱う有人駅でした。

草に覆われた引き込み線

1988年に駅舎が山小屋風に改築されましたが、周囲は民家が点在するのみ。乗降するお客さんは見当たりません。 草に埋もれた引き込み線が当時の繁栄を忍ばせています。

国民的映画のロケ地にもなった 「銀山駅」

市街地から遠く離れた山の中の駅

銀山駅は1905年1月29日に開業。大正時代に赤井川村の明治鉱山から国富鉱山製錬所に鉱石を運搬する際に利用されていました。市街地から遠く離れた山の中にあるのは、旅客よりも貨物が優先されていたからだと思われます。

たくさんの思い出が寄せられている

待合室に思い出ノートのコピーが貼られ、駅を訪れた人たちの感想を読むことができます。近くの木村商店で切符を販売。「近く」と言っても坂道を200mほど下らなくてはならず、ちょっとした運動を強いられます。

素朴な景色が心を癒してくれる

駅を出ると絶景に迎えられます。鉱山が稼働していた時代にたくさん建てられていた民家も今は点在するだけ。昭和45年に公開された「男はつらいよ 望郷編」のロケ地になっており、当時の銀山駅の様子や蒸気機関車の迫力ある走行シーンが記録されています。銀山駅を訪れる前に鑑賞するのがおすすめです。

文/写真:吉田匡和

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