JR北海道は2020(令和2)年5月7日をもって札沼線・新十津川~北海道医療大学間を廃止することを決定しました。同日は多くの人に最終列車が見送られる予定でしたが、新型コロナウイルスによる緊急事態宣言を受けて4月17日をもって全面運休となり、突然の幕切れを迎えました。「廃線1年後の沿線を訪ねる旅」第2話は、石狩月形駅周辺を紹介します。

【前回】突然幕を下ろした札沼線非電化区間 廃止1年後の沿線を訪ねて(1)
https://tetsudo-ch.com/11375951.html

※鉄道チャンネル編集部:一部を除き、写真は2021年4月取材時に撮影されたものです。本連載は全5回を予定しております。

月ヶ岡駅

焼失によりログハウス風の駅に生まれ変わる

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月ヶ岡駅は1958(昭和33)年7月1日に開業しました。1993(平成5)年に駅舎が焼失したため、同年にログハウス風の待合室が設置されています。駅前は広い駐車場になっており、月形町観光案内板やトイレ、自販機が設置されているので、駅としての機能を失った後もドライブの途中の休憩地として利用されています。

知来乙駅

田園地帯にぽつんと立つ小さな駅

知来乙駅は、1958(昭和33)年7月1日に開業しました。地名はアイヌ語の「チライオッ(ciray-ot)」(イトウ・多くいる)または、「チライオッナイ(ciray-ot-nay)」のナイ(川)が省略されたなど諸説あります。田園地帯の真ん中にあり、物置のような木造の待合室とホーム一本のシンプルな構造です。周囲の水田にカモが飛来し、エサをついばんでいました。

石狩月形駅

廃止後も駅名が掲げられている数少ない駅
月形樺戸博物館でフライヤーを入手

石狩月形駅は1935(昭和10)年10月3日に開業しました。島式ホーム1面2線を有していた地上駅で、新十津川方面へは当駅で運転士がスタフを受け取らないと列車が進めない信号保安システムになっていて、廃止まで終日駅員が配置されていました。

駅の待合室の雰囲気が残されている

駅舎はコミュニティバスの待合室として利用されています。待合室には在りし日の札沼線の写真、沿線住民や鉄道ファンからのメッセージ、札沼線の歴史の説明などが飾られており、ここが駅であったことを後世に伝えています。

「コミュニティーショップ ゆづき」で札沼線グッズを販売

コミュニティーショップの一角に並べられた札沼線グッズ

駅前の「コミュニティーショップ ゆづき」では、月形町の特産品を販売するほか、クリアファイルやマグネット、DVDなど、札沼線グッズも販売しています。希少なグッズを買い逃さないでくださいね。

月形樺戸博物館を見学

開拓の礎を囚人たちが築き上げた

月形は樺戸集治監の開監と共に空知管内最初の村として誕生しました。地名は樺戸集治監初代典獄(所長)の月形潔に由来しています。囚人たちは過酷な労働を強いられ、全道の開拓や主要道路の開削など、北海道開拓の礎を築きました。

明治時代に建設された旧樺戸集治監本庁舎は「月形樺戸博物館」として使用され、当時の様子を克明に伝えています。全道の幹線道路などが、そうした歴史の中で作られたことに驚かされます。月形に立ち寄った際はぜひ見学してください。

文/写真:吉田匡和

【次回】突然幕を下ろした札沼線非電化区間 廃止1年後の沿線を訪ねて(3)
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