女性駅員がバーチャル案内する近鉄の「AIさくらさん」=イメージ=

JR東日本、JR西日本、京王電鉄、東急電鉄、近畿日本鉄道、南海電気鉄道、阪急電鉄の鉄道事業者7社が、各社のターミナル駅を中心に、AI(人工知能)を活用した旅客案内の実証実験に共同で取り組んでいる。期間は2021年7月7日から9月30日までの約3カ月間(一部事業者は異なる期間で実施)。

鉄道事業者にとって共通のサービス課題が駅案内で、人手による案内が効率化を迫られる一方で、訪日外国人旅行者の増加などを受けて求められるサービスも多様化・高度化している。コロナ禍にあっては、非接触というのも重要なポイントだ。

実証実験に参画する事業者は、JR東日本と近鉄、南海がデジタルサイネージ(電子広告)式の「AIさくらさん」(導入駅=海浜幕張、渋谷、大阪難波、難波駅。メーカー=ティファナ・ドットコム)、JR西日本が音声対応の「AI案内ロボット『歩夢‐AyumI‐』(大阪駅。JR西日本テクシア)、京王が非接触の対話型AI窓口案内ロボ「下北沢レイ」(新宿、下北沢駅。オムロンソーシアルソリューションズ)、東急が案内サイネージの「リモートコンシェルジュ」(渋谷駅・2カ所。東急、Nextremer、Huber.)など。

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メーカーもサービスメニューも、事業者ごとに異なるが、AIが接客・案内する基本は各社共通。データや実証成果を共有して、より的確な案内手法の確立につなげる。

7社を合計した実証対象駅は15駅の39カ所。設置するロボットやサイネージは、全体で43台になる。一部事業者は実証実験期間後も、AI案内を継続する。

関西私鉄のうち近鉄と南海は、相互に連絡する大阪・ミナミのターミナル・難波駅で連携して案内。南海が難波エリアで採用する案内動画を活用し、南海難波と近鉄大阪難波間のルート、両駅を起点とした主要目的地までの道順を案内するほか、列車遅延、推薦沿線スポットなどの情報を提供する。

文:上里夏生
(画像:近畿日本鉄道)