いまだ収束の兆しがみえない新型コロナ感染まん延のなか、日本はおうち時間が増えるなかで、子どもの居場所、子どもとの交流、教育・遊びを重視した設計の家が注目を集めている。

外へ遊びに行けない子どもとおうちのなかでいかに豊かに過ごすか―――そんな課題へのヒントになる住宅が、キッズデザイン賞受賞作品にあった。3年連続、通算受賞点数12点を記録するポラスグループの受賞7作品からそのトレンドをみていく。

HITO-TO-KI(ひととき)/中央住宅 不動産ソリューション事業部

「HITO-TO-KI(ひととき)」は、子育て世代に対し、家族と過ごすいましかない時間を大切にしてほしいという願いと、「住」育」「子どもの孤独」「子どもの想像を創造する」の3つのテーマについて建築を通じて解決することをめざしたブランド。

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階段の途中に設けたカウンタースペース「スキップキッズフロア」、階段下の三角屋根のこもり空間「リーディングヌック」、キッズスペースフラット、キッズスペース子上がり、セカンドリビング、テラスバルコニーなどの間取り提案をしている。

これらによって、「ただいま・おかえり」などの挨拶や親子の会話、本の読み聞かせなどのコミュニケーションや親子の遊びが自然と生まれる豊かな空間をめざし、多数の間取りプランを用意。

床材には、木目を生かしたこだわりの突板フローリングを採用。子どもの想像力をかき立てるような仕立てになっている。

FREE-IMA(フリイマ)/ポラスガーデンヒルズ

「FREE-IMA(フリイマ)」は、広場のように自然と家族が集まり走り回り、自由に居場所を変えられる空間。

新型コロナウイルスの影響でおうち時間が増え、職住一体へ暮らしが変化し、LD空間には、従来の「食事」「くつろぎ」に「仕事・学習・運動・趣味」といった要素も求められている。

いまの住まいは自由度が低いなか、「お家ではできない」という発想から、LD空間を広場ととらえ、子どもが自由な発想で学びや遊びの場をつくれる、ゆとりあるLD空間を企画した。

また、LD空間の間口寸法を広げ、空間の開放性と家具レイアウトの自由度を高めている。

キッチン前のカウンターTV棚は勉強・遊び・食事などさまざまな場面で活用できる設定にし、親子で片付けられる収納や、子どもの近くで仕事ができるマルチスペースも設置した。2階は4部屋に間仕切れる設定も。

ツリーハウスのような秘密基地/ポラスマイホームプラザ

コロナ禍のなか、外で遊ぶ機会が減るいっぽう、家のなかは新建材の発達で木に触れる機会が少なくなったことから、子どもたちの五感を養い感性を育むために、木に包まれ、毎日が冒険となる家をつくった。

そこには秘密基地を設け、回遊を促し、遊び心を取り入れることで、子どもたちが家のなかで伸び伸びと過ごせるようにしている。

2階に設置した木格子を通して、リビングが見渡せる秘密基地。両親は、リビングのソファで寛ぎながら子どもと会話ができる。秘密基地の反対側には、気持ちのいい見晴らしラウンジも。

すべてはリビングとつながり、立体的なツリーハウスのような構造とし、子どもに「わくわく感」を与え、発見やひらめきなどの気づきを養うつくりに。

ファミリーステーション/ポラスマイホームプラザ・ポラス

家族みんなが使いやすい個人用シェアロッカー。子どもが片づけしたくなる仕組みとコロナ感染対策に配慮した配置計画で子どもが片付けの習慣を身につけられ、子どもの家事参加による夫婦の家事負担軽減と片付けを通じて子どもの成長と家族のつながりを生み出す。

玄関からリビングの間にロッカーを配置することで、外のものをリビングまで持ち込まずに収納でき、また子どもの動線内に組み込むことで片付けの習慣が自然と身につくようになる。

上部の棚とハンガーパイプは子どもの成長に合わせ高さの調整が可能。扉は指を挟まないようソフトダンパーを採用した。

ロッカー内部に用意したピクチャーレールは子どもの絵を飾ったり、家族へのメッセージを送るなど家族とのつながりも感じられるつくりに。

固有種ガーデンPROJECT/中央住宅 マインドスクェア事業部 マンションDv

居住者も近隣住民も触れ合えるマンション内の「ガーデンスペース」を、子どもたちが「学び」や「発見する楽しさ」「親子の会話」が生まれる場所に再構築。

花壇の草花は、日本原産固有種を採用。種の保全に貢献しながら日本古来の草花を子どもたち世代へと守り継いでいくことも目的としている。

スミレやガクアジサイ、キキョウなど、建設地に生息する日本原産固有種(花を咲かせる種)を植え、四季を通して楽しめるものに。

地域の人たちにも開放し、花の解説看板にはQRコードをつけ、子どもの学びにつながる日本花ものがたりサイトへアクセスできる。

親子でそれらを楽しむことで会話も生まれる。現在4物件で採用し、今後3物件でも採用される予定。

チャイルドマルチリビング/体感すまいパーク柏 グローバルホーム

コロナ禍で戸建て住宅志向が高まるなか、ただ広いLDKをつくるのではなく、建物を立体的にとらえ、子どもが自らの創造で居場所と過ごしかたが考えられる建物空間をめざした。

具体的には、ジャングルジムに上ったかのように、上からも下からも親子がお互いに見える「少し高いリビング」や、キッチンから見える「小さなカウンター」、秘密基地のような「子どものリビング」(家族用リビングの下に設置)などの組み合わせで、子どもが好きな居場所を見つけられるようにした。

オリジナル調湿工法や、抗ウィルス作用のある漆喰、無垢フロアなども採用している。

hana-re(はなれ)/体感すまいパーク東浦和 グローバルホーム

出産後の復帰、在宅ワーク、副業、将来的な開業を検討する子育て世代むけのモデルハウス。

日本に昔からある「離れ」の考えかたを再定義し、母屋とちょうどいい距離に設けることで、育児疲れからの解放やストレスの軽減につながる空間をめざした。

両親それぞれのプライベート空間として、ママ専用の hana-re「サロン」を1階に、パパ専用の hana-re「ワークスペース」を2階に用意。

ひとつの hana-re を共有して使うだけでは、ストレスの解消にはならない。パパ・ママそれぞれの hana-re があることで、プライベートも充実する。

育児の ON と OFF、家族時間と自分時間の切り替えをスムーズにできる仕組みに。