【木造駅舎カタログ】山陰本線37/138 浜村駅
※2020年8月撮影
トップ画像は、山陰本線浜村駅。白壁に毛筆の様な書体で大きく書かれた駅名がシックです。
改修される前の浜村駅舎は、隣の青谷駅の木造駅舎とほぼ同じだった様です。おそらく同時期、昭和15年頃の建造。しかしかなり根本的な改修が実施されているので外観の印象は全く異なっています。青谷駅の駅舎がオリジナル、原型ですが浜村駅の方が木造駅舎としては遥かに整った、正に端正な佇まいです。
※個人的な感想です
浜村駅は、1907年(明治40年)官設鉄道の延伸で開設され旅客・貨物の取扱開始。1909年(明治42年)線路名称制定で山陰本線の所属駅になりました。1970年(昭和45年)貨物取扱廃止。1987年(昭和62年)国鉄分割民営化でJR西日本の駅になります。2020年(令和2年)駅は無人化されました。
駅前に大きなロータリーがあります。
※2020年8月撮影
少し西側から。葺き直された灰色の屋根瓦がとても美しい。でも「JR鬼瓦」に灰色のバージョンが存在しないのでしょうか鬼瓦は無地のままでした。
※2020年8月撮影
駅舎前の「浜村温泉足湯」です。大きな貝殻を担ぐ男の子二人の「貝殻音頭像」が飾られています。
試しに指先を入れたら高温なのでビックリ。
ちょうど足湯の清掃に地元の方が来たので「何でこんなに熱いのですか?」と尋ねたら「夏場に足湯を使う方はいませんので大丈夫なのです。でも冬場にはこの湯温でも、外気で冷えてしまうのでお客さまになかなか暖まってもらえないんですよ」と話してくれました。
※2020年8月撮影
後に回って、駅正面の浜村温泉歓迎の大きな看板を見れば「貝殻節のふる里」と書かれています。駅前がそのまま温泉街なのです。
※2020年8月撮影
貝殻節を知らないので調べました。この辺りの海岸ではイタヤガイ(ホタテ貝によく似た貝)が大量に採れた時代があって、この貝を捕るのが重労働だったので「貝殻節」は漁民が働きながら歌った労働歌だそうです。「貝殻音頭像」の男の子が担いでいるのが「イタヤガイ」ですね。お隣の島根県では最近養殖されているそうです。
バス停の上屋を避けて東側から駅舎。本当に丁寧に改修されています。
※2020年8月撮影
青谷駅の回に書きましたが、JR西日本米子支社は乗降人員3,000人/日未満で経年60年以上の駅舎を令和2年から15年かけてコンパクトな駅舎に更新するとしています。山陰本線では、青谷駅、浜村駅、宝木駅、湖山駅などがリストにあげられています。こんな端正な駅舎をコンクリートの小さな駅舎に改築するのはもったいないなぁ。何か良い駅舎活用方法はないのでしょうか。
※鉄道の撮影は鉄道会社、鉄道利用者、関係者などのご厚意で撮らせていただいています。撮影は何よりも安全が最優先。あくまでも業務・利用の邪魔にならないように、そしていつも感謝の気持ちを持って撮影しています。
(写真・文章/住田至朗)