※2020年12月撮影

トップ画像は、紀勢本線賀田(かた)駅。同じ時期に開業した九鬼駅、三木里駅の駅舎ととても良く似ています。素材も同じブロックを積んで作られています。強い海風にさらされる場所柄を考慮してブロックが選ばれたのでしょう。海抜7.7mと貼ってありました。

駅舎の前は駅前広場というほどの広さはありません。それで駅舎正面全体がコンデジの画角に収まらないのです。国道311号線から分岐した駅へのアクセスの坂を上がって駅前です。そして駅前を過ぎて進めばまた坂を下りて国道に戻ります。駅前にバス停がありました。尾鷲市のコミュニティバス「尾鷲市ふれあいバス」と書かれていました。

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※2020年12月撮影

個人的には自治体などが安易に使用する「ふれあい」という言葉があまり好きではありません。日本中に「ふれあい」があふれています・・・。

賀田駅は、1959年(昭和34年)紀勢本線としては最後に開通した三木里駅と新鹿駅の間に最後に作られた駅の一つです。7月15日開業。1983年(昭和58年)に駅は無人化されました。1987年(昭和62年)の国鉄分割民営化でJR東海の駅になっています。

トイレが駅舎の南東側の端にあります。男女共用の汲み取り式。

※2020年12月撮影

賀田の集落は古川の北側、駅から亀山駅側にあります。南にある曽根の集落と賀田の中間の高台に駅が作られています。賀田の町中は低いので津波を避けるために現在の位置に駅が作られたという説があります。

※2020年12月撮影

九鬼駅、三木里駅と同じ様にリアス式の湾奥の集落に駅が設けられ、駅同士はリアス式半島の山中を長いトンネルで結んでいます。次の二木島駅との駅間4.2kmも2,933mの曽根トンネルでショートカットされています。海岸沿いをグルッと回る国道311号線は二木島駅までその3倍以上の距離を走りました。この曽根トンネルが硬い岩盤のためにとても難工事だったそうです。紀勢本線全通まで時間がかかった理由の一つでしょう。

駅出入口。無人駅なので閉められた元窓口のシャッターには熊野古道のイラストが描かれていました。

※2020年12月撮影

構内踏切で島式ホームに渡りました。構内には側線があって、保線用のバラストが積まれたエリアなども設けられています。

※鉄道の撮影は鉄道会社、鉄道利用者、関係者などのご厚意で撮らせていただいています。撮影は何よりも安全が最優先。あくまでも業務・利用の邪魔にならないように、そしていつも感謝の気持ちを持って撮影しています。

(写真・文章/住田至朗)