※2020年12月撮影

トップ画像は、紀勢本線紀伊富田(きいとんだ)駅。2002年(平成14年)に改築された比較的新しい木造駅舎です。それでも建てられてから約20年経ちました。「古い木造駅舎を記録しておきたい」というのが【木造駅舎カタログ】の基本的姿勢です。でも紀伊富田駅の様に新しくても魅力のある木造駅舎は積極的に取り上げます。

紀伊富田駅に向かう途上、国道42号線から海の彼方、左の方にアドベンチャーワールドの観覧車が見えました。紀伊富田駅は、黄色い矢印の辺りだと思います。紀伊富田駅、構内跨線橋に上っても海は見えなかったのでこちらからも駅舎などは見えません。椿駅から紀伊富田駅までの駅間は、5.2kmです。

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※2020年12月撮影

紀伊富田駅は、1933年(昭和8年)国有鉄道紀勢西線が紀伊田辺駅から延伸された時の終着駅として開設されました。1935年(昭和10年)には紀伊椿駅(現・椿駅)まで開通して途中駅になります。最盛期には駅員さんが10人もいたそうです。1959年(昭和34年)の全通後は紀勢本線の所属駅になりました。1985年(昭和60年)駅は無人化。1987年(昭和62年)国鉄分割民営化でJR西日本の駅になって、2002年(平成14年)介護予防拠点施設『紀伊富田みのり館』と合築の新しい駅舎に建て替えられます。

この介護予防拠点施設『紀伊富田みのり館』がオープン後20年ほど経った現在も実際に運営されているのか、現場で見た限りは不明です。とにかく看板などは掲げられていません。それに全く人の気配がなかったのです。せっかく駅舎を地域が活用する企画ですから、何らかの形で継続していただきたいものです。

※2020年12月撮影

そうは言え、駅舎は清々しく端正な佇まいです。待合室内やホーム側には、カラフルな影絵の様な装飾が施されていました。

※2020年12月撮影

駅出入口の左側には一般の住宅の様な玄関があります。駅名はありますが玄関付近に表札などはありません。

※2020年12月撮影

駅出入口。液晶パネルの列車運行ボードがありました。広くない待合室には木製のベンチが置かれています。乗車券などの自動券売機はありません。

※2020年12月撮影

※鉄道の撮影は鉄道会社、鉄道利用者、関係者などのご厚意で撮らせていただいています。撮影は何よりも安全が最優先。あくまでも業務・利用の邪魔にならないように、そしていつも感謝の気持ちを持って撮影しています。

(写真・文章/住田至朗)