今回ご紹介するきっぷはJR四国の気動車特急を堪能するのにも使えます。写真は2019年にデビューしたJR四国2700系気動車。(写真:鉄道チャンネル編集部)

2021年10月~12月にかけて開催「四国デスティネーションキャンペーン」(四国DC)にあわせ、JR四国から四国周遊に使えるきっぷがいくつも発売されています。

今回は際立っておトクな「四国DC満喫きっぷ」を中心としたきっぷ情報や、JR他社のおトクきっぷとの組み合わせ方などを紹介していきたいと思います。

<目次>
・特急自由席乗り放題、四国DC満喫きっぷ
・旅の範囲を狭めておトクに使えるきっぷ3種
・setowa香川愛媛ワイドパス
・香川・徳島フリーきっぷ
・四国西南周遊レール&レンタカーきっぷ
・JR他社のきっぷやフェリーと組み合わせる技も
・銀河も走る、世界が認めた四国

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<動画で見たい方はコチラ>
【youtube】JR四国全線フリーや観光列車乗車可能なものも!チケットレス利用も!お得きっぷをバンバンご紹介!
https://tetsudo-ch.com/11752286.html

特急自由席乗り放題、四国DC満喫きっぷで四国全域を巡る!

「四国DC満喫きっぷ」イメージ(画像:JR四国)

有効期間は「土日祝日を1日以上含む連続する3日間」。JR四国全線および土佐くろしお鉄道全線の特急列車と普通列車の普通車自由席が乗り放題、さらにJR四国バスの路線バス≪大栃線、久万高原線≫に乗車できるというもの。

新幹線の通っていない四国で長距離移動をするなら特急列車が便利。とはいえ特急料金も安くはありません。たとえば瀬戸大橋線で四国へやってきて、香川県の宇多津や多度津から高知へ行く場合、特急「南風」自由席でも片道4000円以上かかります。

その点「四国DC満喫きっぷ」のお値段は紙のきっぷが10,000円デジタルチケットに至っては9,000円なので、一日あたり3,000円。四国の都市間を特急で移動するなら、1日使うだけでも元が取れてしまうケースもあり、破格と言って差し支えないでしょう。

「四国DC満喫きっぷ」デジタルチケットイメージ。左は「setowa」版、右が「しこくるり」版(画像:JR四国)

ただし普通列車・特急列車の「指定席」や「グリーン車」を利用する場合は「乗車券部分のみ有効」となり、別途料金が必要になります。また特急は特急でも夜行列車「サンライズ瀬戸」には乗れませんのでご注意を。

<発売期間>
2021年9月22日~2021年12月26日

<利用期間>
2021年10月1日~2021年12月28日
※上記期間のうち土日祝日を1日以上含む連続する3日間で利用可。

<値段>
・しこくるり・setowaデジタルチケット……9,000円
・紙のきっぷ……10,000円
※小児は一律3,000円、ただし大人と同一行程・同時購入の場合にのみ発売。

<発売箇所>
【紙のきっぷ】
・JR四国の駅のみどりの窓口、みどりの券売機プラス、ワープ支店、駅ワーププラザ
・土佐くろしお鉄道の中村駅、宿毛駅、安芸駅

【デジタルチケット】
・四国をぐるっと楽しむ旅アプリ「しこくるり」
・せとうち観光ナビ「setowa」(JR西日本MaaSアプリ)

旅の範囲を狭めておトクに使えるきっぷ3種

四国を訪れるといっても誰もが「四国全県を巡りたい」と考えているわけではありません。まずは行きたい場所があって、それに合わせて旅程を組み合わせるのが一般的な旅行スタイルであるはず。

そんな方向けに「香川・愛媛」「香川・徳島」「四国西南」といった具合に、使用できるエリアを狭める代わりに更にお手頃価格に設定されたきっぷも販売されています。

setowa香川愛媛ワイドパス

「setowa香川愛媛ワイドパス」で乗車できるフリー区間(画像:JR四国)

「setowa香川愛媛ワイドパス」は岡山県の児島駅~香川県の引田駅や琴平駅、愛媛県の宇和島駅までのJR特急列車および普通列車の普通車自由席が3日間乗り放題になるきっぷ。

JR西日本のMaaSアプリ「setowa」で購入でき、価格は大人6,000円、小児3,000円とこれまた破格です。

<発売期間>
2021年9月22日~2021年12月29日

<利用期間>
2021年10月1日~2021年12月31日
※連続3日間で利用可能。「四国DC満喫きっぷ」のように土日祝日を含める必要がないため、平日に休みが取れる場合に特に便利です。

西へ行くなら松山で坊ちゃん列車を観て道後温泉に入るのが黄金パターン。私鉄は今回ご紹介するきっぷでは乗れませんが、鉄道ファンなら伊予鉄に乗るのもアリ寄りのアリです。逆に香川へ行くなら琴平で降りてことでんを満喫するのも面白いかも。(写真:鉄道チャンネル編集部)

香川・徳島フリーきっぷ

「香川・徳島フリーきっぷ」で乗車できるフリー区間(画像:JR四国)

「香川・徳島フリーきっぷ」は香川県の観音寺駅~徳島県の鳴門駅や徳島駅、大歩危駅までの区間でJR特急列車および普通列車の普通車自由席が利用できるきっぷ。こちらも3日間乗り放題です。

価格は大人6,000円、小児3,000円。発売箇所はJR四国の駅のみどりの窓口、みどりの券売機プラス、ワープ支店、駅ワーププラザ、四国内の主な旅行会社及びJR四国のWebサイト「JR四国ツアー」。

なお、このきっぷには嬉しい「おまけ」も。実はJR四国の駅のみどりの窓口かワープ支店の窓口で事前に座席の交付を受ければ、追加料金なしで「四国まんなか千年ものがたり」と「藍よしのがわトロッコ」に1回だけ乗車できるんです(食事等は別途購入する必要あり)。なおWeb「JR四国ツアー」ではこれらの観光列車指定席券の発券対応を行っていないそうなので、ご利用の際は必ずご購入前にきっぷの注意事項をご確認ください。

2020年にデビューした高徳線のトロッコ列車「藍よしのがわトロッコ」 キハ185系に写真のトロッコ車両が連結されています。(写真:鉄道チャンネル編集部)

<発売期間>
2021年9月1日~2021年12月29日
※ただしWeb販売は出発日の1ヶ月前から出発日の6日前まで発売。

<利用期間>
2021年10月1日~2021年12月31日
※上記期間のうち連続3日間で利用可能

四国西南周遊レール&レンタカーきっぷ

「四国西南周遊レール&レンタカーきっぷ」で乗車できるフリー区間(画像:JR四国)

「四国西南周遊レール&レンタカーきっぷ」は愛媛県松山駅~高知駅までの四国西南部分でおトクに使えるきっぷ。他のきっぷとは異なり、1回だけレンタカーを借りることができます。

JR四国線および土佐くろしお鉄道線の特急列車及び普通列車の普通車自由席が3日間乗り降り自由、指定席やグリーン車は別途料金が必要で、価格は大人6,000円、小児3,000円。

四国西南部は列車の本数が少なく、「青春18きっぷ」などで制覇するのも大変な四国きっての難所です。予讃線も海側と山側を両方効率良く回るのはそう簡単なことではありません。

そこで強い味方になるのがレンタカー。中村駅で借りて宇和島駅で返却といった使い方もできるので、宿毛湾や四万十川に足を運ぶ際に便利なきっぷになりそうです。

このきっぷを使うなら、映画「竜とそばかすの姫」の聖地のひとつ、高知~窪川の間にある「伊野駅」も訪れてみませんか(写真:鉄道チャンネル編集部)
高知県へ行くなら仁淀川の屋形船もおススメです。「仁淀ブルー」で知られる透き通った青の流れに身をゆだねる時間はまさに至福(写真:鉄道チャンネル編集部)

<発売期間>
2021年9月1日~2021年12月29日
※ただしWeb販売は出発日の1ヶ月前から出発日の6日前まで発売。

<利用期間>
2021年10月1日~2021年12月31日
※上記期間のうち連続3日間で利用可能

JR他社のきっぷやフェリーと組み合わせる技も

山陽新幹線や九州新幹線が乗り放題になるきっぷと組み合わせ、北陸~九州を旅して回ってから四国へ入るというルートもある(写真:yuya324 / PIXTA)

今回ご紹介した「四国DC満喫きっぷ」などは単体でも抜群のコスパを誇る優良きっぷですが、もし平日も含めて長期間の休みが取れるなら、JR西日本やJR九州のきっぷと組み合わせるとさらにおトクな旅ができます。

たとえば「JR西日本 どこでもきっぷ」「JR西日本 関西どこでもきっぷ」――新幹線も含めたJR西日本全線と智頭急行線の自由席が乗り放題、指定席も6回まで利用可という破格のきっぷですが、実は発売期間および利用期間が今回ご紹介したきっぷとかなり被っています。

<参考>
【お得】JR西日本「どこでもきっぷ」発売へ 新幹線・特急OK、おひとり様でも利用可
https://tetsudo-ch.com/11829894.html

「JR西日本 どこでもきっぷ」で山陽新幹線と特急列車を乗り倒し、北陸や北近畿、下関などを満喫。そこから再び山陽新幹線で岡山へ。岡山で在来線に乗り換えて児島へ、そして「setowa香川愛媛ワイドパス」で四国北部を満喫する……そんな合わせ技もできてしまいます。

また連続する土休日にしか使えませんが(※)、同じく発売期間・利用期間がほぼ被る「みんなの九州きっぷ」で九州の新幹線や特急を乗り回し、宇和島運輸フェリーで四国愛媛の八幡浜へ渡る方法も。「みんなの九州きっぷ」は「四国DC満喫きっぷ」の「土日祝日を1日以上含む連続する3日間」という制約から組み合わせづらいのですが、平日に休みが取れるなら「四国西南周遊レール&レンタカーきっぷ」とは比較的合わせやすいのです。フェリー代は別途必要になりますが、追加で船旅を満喫できると思えば安いもの。

※女性50歳以上、男性60歳以上の方が入会できる「ハロー!自由時間クラブ」会員向けのきっぷなら「みんなの九州きっぷ」曜日の制限はありません。

キロ47形を使用した初代「伊予灘ものがたり」は今年で引退。来春から新しい「伊予灘ものがたり」が走り始めます(写真:鉄道チャンネル編集部)

この「四国西南周遊レール&レンタカーきっぷ」、実はグリーン券や座席指定券を追加購入すれば「伊予灘ものがたり」や「しまんトロッコ」にも乗れるんですね。

キロ47形を使用した初代「伊予灘ものがたり」は今年で引退、来春から新しい車両に代替わりします。各社おトクなきっぷを出している今は、引退前に乗る絶好のチャンスと言えます。

銀河も走る、世界が認めた四国

ここで最近のニュースから余談を二つ。先日JR西日本・JR四国が発表したリリースの中に気になるものがありました。これまで山陰や山陽方面、そして紀南で活躍してきた長距離列車「WEST EXPRESS 銀河」が四国DCのクライマックスを飾るというものです。

12月25日朝に大阪を出発し、琴平へ。26日には逆に琴平から大阪へ向かう予定です。これまでも四国入りが囁かれていた「WEST EXPRESS 銀河」ですが、紀南の次は山陽昼行、とすでに発表されていたため、クリスマス(とその翌日)のサプライズ運行に鉄道ファンの間からは驚きの声が上がっていました。

もう一つのニュースは一般社団法人四国ツーリズム創造機構が発表したもので、世界的に人気の高い旅行ガイドブック「Lonely Planet(ロンリープラネット)」が発表する2022年にお勧めの旅行先「Best in Travel 2022」の地域部門で、日本の「四国」が第6位に選出されたそうです。

同機構は「今回の選出においても、これまでの官民一体となった取組みにより、四国遍路における「お接待」文化や環境保全に配慮する地域住民の皆様の意識といったコミュニティの繋がりが高く評価されたものと考えています」としており、現在実施中の四国DCを契機に「四国~Shikoku~」ブランドの確立に向けた積極的な取組みを進めるとのこと。

この他にも高知の「ひろめ市場」や西日本最高峰の「石鎚山」など様々な観光スポットがあり、一度の旅ではとても味わい尽くせるものではありません。旅行者側のお財布にも限度がある。そんなときにこそ、特急列車に乗り放題、旅程の縛りもなしという「おトクなきっぷ」が旅を助けてくれることでしょう。

記事:一橋正浩