ドラマ最終回は「新幹線回」――『ミステリと言う勿れ』原作にひそむ鉄道要素を楽しむ【コラム】

2022.03.28

(C)田村由美/小学館

「全然〇〇とは関係ない作品だけど、たまに妙にマニアックなネタが出てきてニヤっとしてしまう」というのはある種のマニア・オタクにありがちな話。作者が意図したかどうかはともかくとして、読者としては遭遇すると嬉しいサプライズです。

今回その一例として紹介したいのが、『7SEEDS』などで有名な田村由美さんのマンガ『ミステリと言う勿れ』。月刊フラワーズ(小学館)で連載中の作品でして、2022年3月現在、フジテレビ系でテレビドラマ版を絶賛放送中です。タイトル通り直球でミステリに挑む作品ではありませんが、謎解きの面白さや主人公・久能整(くのうととのう)の深いセリフの数々が印象に残る作品です。

鉄道関係の業務とは全く関係なく、いちマンガ読みとして個人的に追いかけていたところ、2巻の「つかの間のトレイン」でちょっと「おっ」と思うシーンがありました。舞台は広島へと向かう東海道新幹線の車内。久能君が隣席に座った女性の手紙に記された暗号を解読して口にしてしまったところから物語が始まるのですが……その直前にこんなシーンが。

『ミステリと言う勿れ』2巻 p110から (C)田村由美/小学館

「品川貝づくし」といえば駅弁ファンの中でもよく知られた存在(お酒も進みます)、2003年10月の東海道新幹線品川駅の開業に合わせて開発されました。発売元であるジェイアール東海パッセンジャーズのWebサイトによれば、「昔から海と密接な関係であった品川にちなみ、品川のイメージである貝を主役に採用」したとのことで、5種類の旨味がたっぷり味わえる貝めしとなっています。東京・品川・新横浜・京都・新大阪で発売されていますので、東海道新幹線利用者なら一度は買ったことがある、という方も多いのではないでしょうか。

ちなみにこの貝づくし弁当ですが、手紙の暗号とは(恐らく)関係ありません。作中では久能君が品川から広島行きの「のぞみ」に乗り込むシーンがあるので、乗車駅からの連想でチョイスしたのでしょうか。それとも作者さんやアシスタントさんが個人的に好きなのか、あるいはマンガを描く上で取材する際に実食したとか……? ちょっと気になるところではありますね。

まあ駅弁が出てくるマンガなんていくらでもあるでしょ、と言われたらそれまでですが……実は意外とマニアックなネタも。

『ミステリと言う勿れ』8巻 p73から (C)田村由美/小学館

8巻「星降る舌八丁」の一コマ。謎解きのカギの一つとして鉄道車両のキーホルダーがでてきています。その直後のコマには「455型の七尾線だけど」というセリフがあり、初めて読んだときは「ここで!?」と思わず叫んでしまうところでした。七尾線は石川県を走るJR西日本のローカル線。2021年にはクハ455-701がえちごトキめき鉄道に譲渡され、大々的に報じられたものです。

ネタバレにならない程度に説明すると、「星降る舌八丁」は数字が重要な意味を持つエピソード。恐らく4や5といった数字と関係のあるものとして445系(のキーホルダー)がチョイスされたものだと思われますが、あまりにレアな車両のまさかの登場にびっくり。もしこのエピソードが映像化されたら今の姿(国鉄急行色リバイバル塗装)っぽい塗分けになったりするのでしょうか(笑)こういう意外な出会いもマンガの楽しみ方の一つということで、普段は読まない別ジャンルの作品に手を出してみるのも面白いものです。

余談ですが、テレビドラマ版は3月28日(月)に最終回が放送予定。前述の「つかの間のトレイン」を映像化したものになっています。予告編の写真を見るとこれまた人気の「ひっぱりだこ飯」と思しき写真も……? 鉄道ファンのみんなも、気になったらチェックしてみて!

記事:一橋正浩


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