「1970(昭和45)年築。ここで生まれて、ここでずっと育ってきましたから。もう81です。

自分で神棚を下ろしたときは、いろいろな思い出が走馬灯のようによみがえりましたね。

でもこうして長年住んだ家とこうしてみんなでお別れできるのは、ありがたいことです」

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―――ここは東京都葛飾区青戸。またひとつ、小さな町工場が姿を消す。一般家屋の一部を工場にしたような建物には、昭和のしゃれた書体で「精密プレス金型」の文字。

家族以上にいっしょに過ごしたこの家や機械との、別れ

この「ユタカ製作所」の主は、御年81歳。

この小さな製作空間のなかに、当時数千万円もした工作機械を始め、旋盤やプレス加工機といった重厚な機材が整然と並んでいる。

昨年の3月に稼働を止めた「ユタカ製作所」の工作機械たちは注油による鈍い光を放ち、いまも稼働してるんじゃないかと思うほど、きれいに整えられている。

仕事を失った機械たちが、こんな鈍い輝きを放つとは。これも「ユタカ製作所」主の気質・流儀の表れか。

御年81歳の主は、「どっかでまた使ってくれるといいだけどね。運び出すまでがたいへんみたいで」と。

「昨年の3月までここで仕事してました。ここも50年が過ぎて、工場を閉めて建て替えようと……」

―――これまで半世紀以上、家族以上に時間をいっしょに過ごしてきた、工場と家のお別れを、特別な時間にしたいと想い、選んだのが↓↓↓

ポラスグループ中央グリーン開発の棟下式(むねおろしき)

精密プレス金型「ユタカ製作所」の主は、きょう3月18日、息子夫婦をはじめとする家族3世代を集め、ポラスグループ中央グリーン開発の棟下式(むねおろしき)を開き、家族みんなで、これから家を建て替えてくれる人たちといっしょに、この家での思い出を語り、笑い、涙し、特別なお別れの時間を過ごした。

ポラスグループ中央グリーン開発の棟下式(むねおろしき)は、建物に感謝を伝える「清祓い」、古いアルバムを見ながら当時を振り返る「思い出の昇華」を経て、そのようすを写真や動画で記録し、「思い出を継承」していく、オリジナルの儀式。

万力(まんりき)という道具を次の新築空間に残して…

可能なものは形をかえリユースを。かつてある施主は「孫の成長を記した柱」を新たな住まいへ。

またある施主は、亡き主人との思い出深い庭木の枝を「色鉛筆」にして孫へ……。

精密プレス金型「ユタカ製作所」の主は、長年いっしょに仕事をしてきた万力(まんりき)という道具を次の新築空間に残し、思い出を継承していくという。

金属部品の金型をつくっていたころの音・空気・熱・肌触りを想いながら

「ユタカ製作所」のように、葛飾区には、昭和のころは小さな町工場が点在していた。その工場数は東京23区のなかで大田区、墨田区に次ぐ第3位で、都内全域のなかで金属製品をつくる工場の数は葛飾区が第1位。

この「ユタカ製作所」も学研「科学と学習」などの付録に入る金属部品の金型をつくっていたという。

そんな、この小さな工場で金属部品の金型をつくっていたころの音・空気・熱・肌触りを想いながら、みんなで工場+家とお別れ―――。

この家の建て替えを担当するポラス中央グリーン開発の設計者やディレクターが立ち会い、当時の思い出や旧家屋への想いを聞きながら、次の新居をいっしょに描いていく。

―――精密プレス金型「ユタカ製作所」の工場+家は、このあと取り壊し作業に入り、ポラスグループ中央グリーン開発が伴走者となり、年内には新しい住まいへとアップデートされる。