東海道新幹線の車内チャイムがきょう21日、新曲に切り替わりました。

「会いにいこう」(歌唱:UA/作曲:岩崎太整)は、JR東海が2023年2月から展開しているキャンペーンのために制作された楽曲です。

背景にあるのはコロナ禍。「会いにいきたいけどいけない」という状況からかつての日常へ戻りつつあるなか、JR東海は「皆さまの『会いにいく』という気持ちを応援するため」キャンペーンを展開し、テレビCM用の楽曲制作を岩崎さんに依頼。アフターコロナを象徴するような「トンネルを抜けていくような明るい印象の曲」が仕上がりました。

車内チャイム用の音源を手掛けたのも岩崎さんです。2月から制作をはじめ、4か月ほどかけて完成。およそ20年にわたり使用されてきた「AMBITIOUS JAPAN!」のイメージを変えないよう、音域などを調整されたそうです。制作に関わったJR東海の佐治まさみさんは「『AMBITIOUS JAPAN!』同様に永く色んな方に愛していただけるものになれば」と語ります。

インタビューに応えるJR東海東京広報室の佐治まさみさん

「AMBITIOUS JAPAN!」では始発駅・終着駅用と途中駅用の2パターンの車内チャイムが制作されましたが、「会いにいこう」は1パターンのみとなっており、どこで乗り降りしても同じ曲を聴くことができます。

なお、車内チャイムが変わるのはJR東海の車両のみ。東海道新幹線に乗り入れるJR西日本の車両では、引き続き「いい日旅立ち、西へ」のチャイムが流れます。

「会いにいこう」の音源は2つある

ここで新車内チャイムのこだわりポイントをひとつ。

「会いにいこう」の車内チャイムは1パターンのみですが、実は音源自体は2種類制作されています。

その理由は「N700A」と「N700S」の設備の違いにありました。

東海道新幹線では2020年3月に700系が引退し、全ての車種が「N700A」に統一されましたが、2020年7月1日に最新型の「N700S」がデビュー。現在は従来の「N700A」と最新設備を搭載した「N700S」の2種類の車両が走っています。

この「N700A」と「N700S」、実はスピーカーの位置が異なります。「N700A」は天井の照明の間にスピーカーが設置されていますが、「N700S」は車内テロップ用の液晶ディスプレイの隣にフルフラットスピーカーを内蔵しており、同じ音源を流すと微妙に聞こえ方が違ってきてしまうのです。

そこで「N700A」「N700S」どちらに乗車しても同じように聞こえるよう、実車で試験をしながら音源を調整。チャイムは1つしかないにもかかわらず、音源が2種類存在することになりました。

記事:一橋正浩

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