【終端駅 22】弘南鉄道弘南線 黒石駅
岩木山と八甲田山系を望む長閑な路線
弘南鉄道弘南線は青森県の弘前駅から黒石市の黒石駅までの16.8kmを結ぶ路線です。平賀駅から北進する線区では西に遠く岩木山を望み、東には八甲田山系の山々が広がります。
弘南鉄道弘南線の歴史
弘南鉄道弘南線の歴史を簡単にお復習いします。1927年(昭和2年)に弘南弘前(現・弘前)〜津軽尾上間が開通。1948年(昭和23年)靑森県内では最初に電化(600V)されます、1950年(昭和25年)弘南黒石(現・黒石)までが全通。1961年(昭和36年)1500Vに昇圧されました。
旧国鉄黒石線の弘南鉄道への転換と廃止
当初、弘南鉄道の終点が弘南黒石駅だったのは既に黒石駅が存在していたからです。
1912年(大正元年)に軽便鉄道として始まった旧国鉄黒石線が奥羽本線(五能線の起点)川部駅から弘南黒石駅の北方の黒石駅まで6.6kmを結んでいたのです。しかし弘南鉄道弘南線が開通し乗換無く弘前に行ける様になると川部駅での乗換が必要だった旧国鉄黒石線の利用者が激減し1981年(昭和56年)には第1次特定地方交通線として廃止が承認されます。これを弘南鉄道に転換して弘南黒石駅に線路を繋げたのです。川部駅〜黒石駅間は6.2kmになりました。しかし旧国鉄黒石線は非電化、電化されていた弘南鉄道黒石線とは直通運転ができない上に旧国鉄時代にあった五能線との直通運転も無くなって更に利用者が減ってしまい、結果的に1998年(平成10年)廃止されました。
黒石駅
弘前を出て29分、黒石駅に到着。雪に覆われていますが左手に旧黒石線で使われたホームが見えます。構内には左手に弘南鉄道黒石線時代の車両検修場の建物が残っています。非電化だった黒石線の気動車専用に作られたものです。
使われていない旧黒石線のホームが左側にあって、現役は島式ホーム1面2線、さらに右側に側線があります。頭端式のホームになっています。
駅名標。
外に出て駅舎を撮影。1986年(昭和61年)旧黒石線があった時代に建てられたものです。
元東急7000系は日本初のオールステンレス車両
ホームに戻って停まっていた車両運転席から元東急7000系車両を写しました。東急車輌とアメリカの車両メーカーバッド社との技術提携で製造された日本初のオールステンレス車両です。最初の製造から50年を経た今でも84両が5つの鉄道業者で旅客営業に使用されています。
元東急7000系車両の特徴的なパイオニア形台車。ディスクブレークが当時から珍しかったのです。7000系に次いでのオールステンレスカー京王電鉄3000系もパイオニア台車とディスクブレーキが印象的でした。そしてこちらの車両も今なお多くの地方鉄道で活躍しています。
7102は中間車を運転室に改造しているので行き先表示がステッカーです。右に「黒石線検修所」と書かれた建物が写っています。これが廃止された旧黒石線の気動車用検修所、雪に埋もれていますが隣にも島式ホームがあります。
ホームの先から2編成を写しました。7152、7153の中間車改造型です。
(写真・記事/住田至朗)