三日月知事と西山西武HD社長が滋賀の魅力をトップセールス 連携協定1周年で湖国の食材を満載した「52席の至福」が快走【コラム】

近江ガモのコンフィ(低温の揚げ焼き)、近江ブタ入りラビオリ(パスタ)といった滋賀県産グルメでテーブルを彩った「食の列車」が2026年1月18日、西武池袋線池袋~飯能往復で運転されました。
西武ホールディングス(HD)と滋賀県による2024年の包括的連携協定1周年を記念したコラボ企画で、池袋駅で滋賀県物産会が開かれたのにあわせて三日月大造知事が来駅。西武HDの西山隆一郎社長と滋賀の魅力をトップセールスした後、人気観光列車「52席の至福」に乗車しました。
筆者は池袋駅のセレモニーを取材。地域観光振興に持論を持つ三日月知事のコメントに続き、「滋賀の西武系鉄道会社」といえばズバリこれ、西武鉄道の一昔前の名車が今も健在な「近江鉄道写真館」をお届けします。
今も根付く近江商人の「三方よし」
時計を1年少々戻して西武HDと滋賀県の連携協定。西武グループは滋賀に近江鉄道のほか、びわ湖大津プリンスホテルや瀬田ゴルフコースといった事業基盤を持ちます。
西武グループの創業者・堤康次郎は滋賀県愛荘町の出身です。西山西武HD社長も「西武グループには、『売り手よし、買い手よし、世間よし』という近江商人の『三方よし』の精神が今も根付く」と認めます。
地域や観光振興に二人三脚で取り組む協定の1周年企画が、西武駅での物産会と「滋賀県×52席の至福・コラボ列車運転」。物産会は1月17、18日の池袋駅に、2月7、8日と3月7、8日の西武新宿駅が続きます。
コラボ列車の運転は2026年1~3月、滋賀産食材をフレンチのトップシェフがアレンジ。ブランチ、ディナーの各コース料理に仕立てました。
周遊観光にチャンスあり
池袋駅のトップセールスでは三日月知事と西山社長に加え、近江鉄道の藤井高明社長が法被姿で勢ぞろい。滋賀の観光パンフレットを配って来県を呼びかけました。

ブース前のインタビューで、三日月知事が語ったのが滋賀と西武の共通性。滋賀県は国際観光都市・京都(市)に隣接しますが、観光県としての世界への情報発信はこれから。
県が力を入れるのが、京都や大阪にやってくる観光客に一足延ばして滋賀を訪れてもらう作戦です。
周遊観光の可能性は西武グループも同じ。川越や秩父といった沿線観光地を東京観光とセットで売り込みます。三日月知事の考え方には、西山社長も深くうなずきます。
コラボ企画ではもう一つ、西武鉄道、近江鉄道に加え、東京・日本橋の滋賀県情報発信拠点(アンテナショップ)をめぐる回遊スタンプラリーも、2026年1月10日~5月6日に展開中です。
三日月知事は元鉄道マン
トップセールスを終えた三日月知事と西山社長は、ホームに上がって「52席の至福」をバックにフォトセッション。
三日月知事はJR西日本出身。ホームで鉄道マンのルーツを感じさせる一コマがありました。「52席の至福」が発車するのは7番ホームで、たまたま隣のホームに停車していたのが40000系電車です。
2017年3月から営業運転に入った新鋭の40000系、停車していた0番台は通常の車内はロングシート、座席指定制有料列車「S-TRAIN(エストレイン)」としての運行時はクロスシートの二刀流。首都圏私鉄で定着しつつある「デュアルシート」車両です。
三日月知事がエストレインやデュアルシートを認識していたかは不明ですが、車内が一般ロングシート車と違うのは一目瞭然。鉄道に詳しい記者に話しかけて、話題の車両をアップデートしていました。
そして「52席の至福」発車まで、ご自身のスマホで熱心に列車を撮影していました。

三日月知事や藤井社長からは、「鉄道ファンの皆さん、近江鉄道にぜひご乗車ください」のメッセージ。筆者は、「次回の関西紀行では米原で東海道新幹線を下車して米原か彦根から近江八幡まで、近江鉄道で移動しよう」と決めました。
本章の締めにもう一題、JRグループ旅客6社と地元共同の大型観光キャンペーン「滋賀デスティネーションキャンペーン」の2027秋開催が決定。三日月知事も滋賀DCに期待していました。

鉄道の存在価値算出
後段は近江鉄道写真館。池袋駅で近江鉄道の島川規子管理部広報課長にリクエスト、ご提供いただいた4点の写真すべてをご覧いただきます。
せっかくの機会なので、近江鉄道のプロフィール。路線は本線(米原―貴生川47.7キロ)、多賀線(高宮―多賀大社前2.5キロ)、八日市線(八日市―近江八幡9.3キロ)の3線で、米原、彦根、近江八幡の各駅でJR東海道線、貴生川でJR草津線と、第三セクターの信楽高原鐵道に接続します(米原では東海道新幹線とJR北陸線にも)。
鉄道建設の理由は、江州米をはじめとする沿線産品の輸送。戦時中の1943年、箱根土地開発(現・プリンスホテル)傘下になり、西武グループ入り。2016年2月に西武鉄道が全株式を取得して、西武の完全子会社に(西武HDにとっては孫会社)。
振り返れば10年ほど前、存続か廃止かで揺れた鉄道の針路で、経営の上下分離という選択肢で議論を収束させたのが、2025年2月の本コラムでも触れた「クロスセクター効果」です。
鉄道を存続させると維持費がかかりますが、仮に鉄道を廃止してバス転換すると、それ以上に経費が必要です。近江鉄道がファンに愛される鉄道として存続できたのは、鉄道の存在価値を冷静に判断した三日月知事をはじめとする滋賀県関係者の力が大きいことをあらためて感じました。
【参考】近江鉄道再生の道のりを明かす新刊 著者が語る「目標は『残すこと』でなく 、『残して利活用すること』」【コラム】(※2025年2月掲載)
https://tetsudo-ch.com/12996364.html




記事:上里夏生