国民的漫画『ちびまる子ちゃん』の作者・さくらももこさんが生前こよなく愛した岐阜県・郡上八幡。その想いと町の魅力を結ぶ新施設「さくらももこと郡上八幡」が、2026年7月4日(土)にグランドオープンを迎えます。舞台となるのは、国の登録有形文化財である町家「越前屋」。なぜ静岡出身の彼女が、この水脈の町に魅了され、ご当地キャラ「GJ8マン」を生み出したのか。入館の方法や、ローカル線・長良川鉄道でのアクセスとともに、鉄道メディアならではの視点で紹介します。

国の登録有形文化財に誕生!「さくらももこと郡上八幡」

歴史的建造物「町屋敷越前屋」を舞台にオープンする「さくらももこと郡上八幡」

「町の脇をきれいな川が流れ、町中をきれいな水が走り、町のいたる所できれいな水が飲める」

多才なエッセイストとしても知られたさくらももこさんが生前そう絶賛し、創作の合間に幾度となく足を運んだ岐阜県郡上市・郡上八幡。その中心部に佇む国の登録有形文化財「郡上八幡町屋敷越前屋」が、彼女と町との温かな物語を伝える新施設「さくらももこと郡上八幡」として生まれ変わります。

グランドオープンは2026年7月4日(土)12時(※6月27日より公式サイトにて事前予約開始)。館内は、誰でも無料で立ち寄れる1階の「オープンエリア」と、有料の2階「チケットエリア」で構成されています。2階の常設展『わたしが愛した郡上八幡』には、彼女が過ごした時間や直筆の言葉、さらには「頼まれてもいないのに勝手に生み出した」という伝説のご当地ヒーロー「GJ8マン(ジー・ジェイ・エイトマン)」の展示を展開。地元の伝統工芸とのコラボエリアも設けられ、郡上のものづくり文化にも触れられる空間です。

「あえて不便な町家」が仕掛ける極上の没入感

ご当地ヒーロー「GJ8マン」(写真右)が目を引く館内

旅の目的地として「さくらももこと郡上八幡」を捉えたとき、鉄道ファンや建築ファンであれば強く惹かれる立地や建物が、大きな魅力のひとつです。

公式サイトの注意事項を見ると、本施設は重要文化財を改修した建物のためバリアフリー非対応であり、2階への移動は階段のみ。さらに通路が狭く、1日あたりの入場上限数が制限されています。大きな荷物の預かり所もありません。これらは一見ネガティブな要素に思えますが、空間全体のディレクションを手がけた株式会社ノットは、この「不便さ」を逆手にとり、来訪者を町の記憶へ没入させるスポットとることに成功しています。

靴を脱ぎ(靴下持参を推奨)、少し急な階段を登り、譲り合いながら小さな展示ケースを覗き込む。そうしたアプローチにより、さくらももこさんが愛した「郡上のゆるやかで優しい日常の速度」に自身の感覚を同調させることができるのです。タイパ(タイムパフォーマンス)ばかりを求める現代のエンタメ施設とは対極にある、極めて贅沢なひとときを過ごせるスポットです。

清流に揺られる序章!「長良川鉄道」で行くアクセス

「さくらももこと郡上八幡」は長良川鉄道「郡上八幡駅」から徒歩約18分。駅からはコミュニティバス「まめバス」も運行しています。「ご来館の際は、なるべく公共交通機関をご利用ください」と呼びかけられている通り、郡上八幡は歩くのが最高に楽しい町です。特にオープンから間もない7月11日(土)から9月5日(土)まで「郡上おどり」の開催により周辺駐車場が大変混雑するため、マイカーでの来館は控えるよう案内されています。

長良川鉄道で郡上八面へ行こう!

長良川沿いを走る長良川鉄道の観光列車「ながら」(画像:Pixta)

東京から郡上八幡へ行くには、JR東京駅から東海道新幹線のぞみでJR名古屋駅まで約1時間35分。JR特急ひだに乗り換えて美濃太田駅まで約40分、長良川鉄道に乗り換えて郡上八幡駅まで約1時間20分。4時間程度でアクセスできます。
利便性を重視するなら、名古屋駅から高速バスで「郡上八幡城下町プラザ」か「郡上八幡IC」まで約90分でアクセスするルートが効率的ではあるのですが、あえておススメしたいのが、美濃太田駅から清流・長良川に寄り添って走るローカル線「長良川鉄道」を利用したアプローチです。

【参考】食品サンプル列車やエメラルドグリーンの清流を楽しんで 「新・鉄道ひとり旅」251回目の舞台は「長良川鉄道」(※2025年6月掲載) https://tetsudo-ch.com/13001667.html

美濃太田駅からのんびり揺られるひととき。車窓いっぱいに広がるエメラルドグリーンの川面を眺め、ゆっくりと山あいに分け入っていく時間そのものが「さくらももこと郡上八幡」へと繋がる最高のプロローグになります。時間が合えば、絶景ポイントをスピードを落としながらゆっくりと走る「ゆらーり眺めて清流列車」での移動も可能です。また、週末の移動であれば、少し贅沢をして観光列車「ながら」に乗車。沿線地域の食材を使用したランチやスイーツを味わいながら移動することもできます。

【参考】旅する観光列車〜観光列車ながらで行く 美濃路の旅ショート版〜(※2022年9月掲載) https://tetsudo-ch.com/12704526.html

「さくらももこと郡上八幡」概要

・グランドオープン日時:2026年7月4日(土)12:00
・事前予約開始日:2026年6月27日(土)より公式サイトにて受付
・所在地:岐阜県郡上市八幡町新町926番地(郡上八幡町屋敷越前屋)
・営業時間:10:00~17:00(最終入館16:30)※郡上おどり期間中のみ営業時間変更あり
・休館日:無休(年末年始を除く)
・チケット料金(2階常設展):大人(高校生以上)1,000円 / 小人(小・中学生)500円 / 未就学児 無料
・館内決済方法:現金、クレジットカード、交通系IC、各種キャッシュレス・QRコード決済

入館前に事前予約か整理券の取得が必要

「さくらももこと郡上八幡」に入館するには、事前予約もしくは当日配布の整理券の取得が必要です。上限数に達した場合、入館ができないためご注意を。事前予約は6月27日(土)に開始しますが、詳細は公式サイトのお知らせ欄やSNSを確認してください。

7月4日のオープン後まもなく、郡上八幡の町は日本三大盆踊りのひとつ「郡上おどり」の熱気に包まれます。下駄の音が響く石畳と、どこからか聞こえる川のせせらぎ。今年の夏は、長良川鉄道の心地よいディーゼル音に身を委ねながら、さくらももこさんが愛した名水の町へ、あなただけの優しい時間を探しに出かけてみませんか。

(画像:株式会社ノット)

鉄道チャンネル編集部
(旅と週末おでかけ!鉄道チャンネル)

【関連リンク】