【大井川鐵道】井川線が7月から一律3,500円の「観光鉄道」へ!湖上駅の絶景と日本唯一のアプト式で挑む挑戦、座席定員制と新料金体系も解説

日本唯一のアプト式鉄道であり、エメラルドグリーンの湖上に浮かぶ姿が美しい「奥大井湖上駅」など、唯一無二の絶景で旅人を魅了し続ける大井川鐵道井川線(南アルプスあぷとライン)が、次世代へ向けてあまりにも大胆な決断を下しました。
大井川鐵道は、2026年7月1日(水)より、井川線の運行形態を乗車そのものを体験型エンタテインメントとする「観光鉄道」へとリビルドします。これにより、これまでの乗車区間運賃から、一律「大人3,500円」の旅行商品としての販売へ移行し、確実な着席を約束する座席定員制が導入されます。
ネットでの予約開始時期や新ダイヤの注目ポイントはもちろん、地元の足を従来通りの運賃のみで守る「一般車両」の取り組みまで、この夏、新しく生まれ変わる奥大井の鉄道旅を100%楽しむための秘訣を詳しく解説します。
井川線「観光鉄道化」の概要と新料金システム
2026年7月1日より、大井川鐵道の井川線は「観光鉄道」として生まれ変わります。
新たな運行形態の最大の特徴は、観光列車が「座席定員制(列車指定制)」になることです。専用のオンライン予約サイトが導入され、24時間いつでも予約や決済が可能になり、確実な着席が保証されます。料金は乗車区間に関わらず、大人3,500円、小児1,750円の均一料金となり、募集型企画旅行商品として販売されます。(鉄道の「運賃」ではなく、トロッコ列車ならではの乗車体験・諸費用等を含んだ募集型企画旅行の代金になります。)
予約開始は2026年6月12日から始まっています。当日でも空席があれば、オンラインや駅窓口、車内で申し込むことができます。なお、対象となるのは井川線のみで、大井川本線の普通列車やSL、きかんしゃトーマス号などは従来のまま利用可能です。

環境の変化から「観光鉄道化」を選択、持続可能な経営に挑戦
大井川鐵道は井川線を大幅に値上げする方針を4月に打ち出しましたが、地元の町議らが地元への説明を求めて反発。6月から予定していた井川線の観光鉄道化を一旦延期した上で、5月初旬に地元関係者向けの住民説明会を開き鳥塚社長が陳謝。その上で、あらためて7月からの井川線の「観光鉄道化」を発表しました。

この観光鉄道化の背景としては、2022年の台風15号による大井川本線の一部不通の長期化など、経営状況の大きな変化があります。(※川根温泉笹間渡・かわねおんせんささまど ~ 千頭・せんず 間での運休が続いています。)
従来のままの運行では今後の運営自体が厳しいという判断から、観光鉄道化・旅行商品として販売をすることで、新たなスタートを切ります。大人3,500円という、従来の運賃と比較すると大きく値上げとなる価格に様々な意見が飛び交う中、思惑通り集客を行い、持続可能な経営にすることができるかに注目が集まります。
地域住民や宿泊客への配慮、一般車両と沿線住民パス

7月から全列車が観光向けの完全予約制になるわけではありません。
沿線の宿泊施設を利用する観光客や地域住民の足を守るため、下り最終列車(千頭 14:35発⇒接岨峡温泉 15:48着の405列車など)と上り始発列車(接岨峡温泉 10:45発⇒千頭 11:55着の402列車など)の1往復には、これまで通り運賃のみで乗車できる予約不要の一般車両が連結されます。
さらに、川根本町全域および静岡市井川地区の住民を対象に、発行手数料1,000円で2年間有効の「井川線沿線住民パス」が新設されます。一部の企画列車を除き、観光列車を含む全線が乗り降り自由となるこのパスは、2026年7月1日より千頭駅で発行されます。沿線住民パスの導入は、日常の移動手段としての機能を維持しつつ、地元を走る「観光列車」にも親しんでもらおうという意図が感じられます。
ローカル線の未来は地域との協業にあり!
今後は、乗車区間に関わらず均一料金となる井川線ですが、途中駅で一度降りての周辺観光を希望する声や、往復のどちらかは、鉄道とは別の方法も利用してみたいという意見があがるなど、まだ改善の余地はありそうです。
2026年5月下旬には地元観光事業者らと「大鐵サポーターズクラブ」を設立し、駅でのおもてなしや商品開発を共同で行う体制を整えているとしています、今後は、観光客に地域全体を周遊してもらえるような旅行商品の開発を行うなど、より一層の地域連携の体制作りが鍵になるのかもしれません。
湖上駅の美しい景色+ここでしか見られない「アプト式」
日本では唯一「アプト式」とは急勾配を登り下りするために、山岳が多いスイスで生まれた鉄道機構です。
線路の中央に歯形の「ラックレール」が敷かれ、鉄道の機関車の円形の歯車(ピニオン)を、そのレールに噛み合わせて坂を進む仕組みです。スイスでは、ブリエンツ・ロートホルン鉄道やヴェンゲルンアルプ鉄道など、多くの山岳鉄道で採用され、活躍をしています。
日本では、静岡県を走る大井川鐵道井川線の「アプトいちしろ駅〜長島ダム駅間」でのみ採用されている方式です。

この区間は日本一の急勾配である90‰(パーミル)となっており、1000m進むあいだに90mを登るような勾配が見られます。

この区間では、専用の電気機関車(アプト式機関車)を連結して、列車が運行されています。

日本では非常に珍しいアプト式の鉄道ですので、実際に乗車をしてご自身で感触を感じてみるのが良いでしょう。
【参考】 大井川鐵道が4月6日にダイヤ改正 下りEL急行の発車時刻を統一、朝の普通列車を川根温泉笹間渡まで延長(※2026年2月掲載) https://tetsudo-ch.com/13022680.html
日本唯一のアプト式鉄道が「観光鉄道」へのシフトへ挑みます。確実な特等席をスマホでスマートにキープし、ダイナミックなアプト式の連結を肌で体感する奥大井の特別な旅。この夏は、新しく生まれ変わるのトロッコ列車に揺られて、きらめく新緑の美しい渓谷へ出かけてみませんか?
(画像:大井川鐵道、PIXTA)
鉄道チャンネル編集部
(旅と週末おでかけ!鉄道チャンネル)
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