
日本を訪れる海外の旅行者が、どんどん増えていますよね。そんななか、海外の旅行サイトでも「定番ルートの外へ旅人を案内しよう」という動きが広がっているんです。
「ゴールデンルートの先へ」ってどういうこと?
アメリカの旅行業界向けメディア「TravelAge West」は2026年10月12日、「ゴールデンルートの先へ」という特集記事を掲載しました。ゴールデンルートとは、新幹線で結ばれた東京・京都・大阪をめぐる、訪日客の王道コースのことなんです。
ところが、訪日客の行き先はこの3都市に集中しがちで、とくに京都や箱根のような規模の小さい観光地では、物価や家賃の上昇など地元の暮らしへの影響も出ているんですよね。そこで、まだあまり知られていない地域へ旅人を案内しよう、というわけなんです。
記事が紹介しているのはこんなところ
いちばん大きく取り上げられているのが、紀伊半島にある高野山です。壇上伽藍や、約20万基の墓石が並ぶ奥之院を歩き、宿坊で精進料理をいただいて、早朝のお勤めにも参加する。記事の筆者は実際に訪れて、ずっと思い描いていた「静かな日本」に出会えたと紹介しています。じつはJNTO(日本政府観光局)も、2026年は紀伊半島に注目しているんです。
奈良は「京都の代わりに」行きたい歴史の街として登場します。旧奈良監獄を活かした「星のや」ができたことも紹介されていました。
青森は「京都の芸者文化にひかれる人に」というおすすめで、武家の町並みや芸者文化が今も残っているそう。定番の代わりになる場所として提案されているのが、おもしろいところですよね。
そして高松は、宿が少なくて予約が取りにくい「アートの島」直島に通うための拠点としておすすめされていました。高松に泊まって船で日帰りし、栗林公園もセットで楽しむ、という回り方なんです。
【こむぎの視点】
海外の旅行サイトが日本の地方をすすめていると聞くと、ちょっとうれしくなっちゃいませんか? じつはこの流れ、今回の記事だけの話じゃないんです。
海外の「行くべきリスト」は地方だらけ
ニューヨーク・タイムズの「行くべき52か所」には、2023年に盛岡と福岡、2024年に山口、2025年に富山、そして2026年は長崎と沖縄が選ばれています。ナショナルジオグラフィックの2026年版で日本から唯一選ばれたのは山形県。TIME誌は伊勢神宮を、BBCは石川県を選び、Booking.comは「居心地の良い都市」に岐阜の高山を挙げています。
観光学には「観光地のライフサイクル」という考え方があって、観光地は発見、成長、成熟、停滞という段階をたどるといわれているんです。海外のメディアは、まだ混み合う前の「これから」の場所を探しているのかなと思います。
地下神殿にうさぎの島、「ちょっと変わった日本」
海外のサイトを調べてみると、日本人のわたしたちでもびっくりするスポットがたくさん紹介されていました。
大久野島(広島):かつて地図から消された毒ガスの島が、いまは数百羽のうさぎが暮らす島に
(休暇村大久野島 https://www.qkamura.or.jp/ohkuno/free1/?p=32 )


投入堂(鳥取):断崖のくぼみに建つ「日本一危険な国宝」
(三徳山三佛寺 https://mitokusan.jp/ )


首都圏外郭放水路(埼玉):洪水から街を守る「防災地下神殿」
(公式サイト https://www.gaikaku.jp/ )


地理の目で見ると、どれも土地の条件から生まれた場所なんですよね。たとえば地下神殿のあたりは、大きな川に囲まれた皿のような低地。だからこそ巨大な放水路が必要だったんです。景色の裏にある「なぜここに?」を知ると、旅がぐっと深くなります。
「代わり」じゃなく「本命」として
「京都の代わりに奈良」という提案は、混雑を分散させるうえでとってもいいアイデアだと思います。ただ、「代わり」という見方だけだと、今度はその街が次の混雑地になってしまうかもしれません。奈良には奈良の、青森には青森の物語があるので、その土地ならではの魅力で選ばれるのが、旅人と地元の両方にとっていちばんなのかなと思います。直島に行くために高松に泊まるように、「泊まる場所」と「遊ぶ場所」を分けるのも、地元の負担を減らす工夫のひとつですよね。
海外で話題になってから行くか、話題になる前に行くか。次のお休みは、地図を広げて「まだ知らない日本」を探してみませんか?
こむぎ
(旅とおでかけ!鉄道チャンネル