時刻表は鉄道の原点 鉄道旅の地図です

『阿房列車』(1952年〜1956年)の内田百閒先生は鉄道の旅に出かける前、深更まで時刻表を見て飽きなかったと書いています。松本清張さんの名作『点と線』(1958年)も時刻表なしには成立しない物語でした。何よりも宮脇俊三さんの『時刻表2万キロ』(1978年)が時刻表と鉄道旅の魅力を伝えて間然とするところがありません。今でも読み返しますが、宮脇さんが旅をした当時の国鉄20992.9kmの線区の多くがその後廃止されていて、もはや乗ることの出来ない列車の幻に陶然とします。

時刻表探検 数字に秘められた謎を解く

この一冊、時刻表マニアでも楽しめる内容です。時刻表入門に最適かもしれません。7月13日(木)に刊行されました。価格は1、620円です。

目次を紹介します。

第1章 時刻表づくりの裏側 時刻表と生きる
→元時刻表編集長が、時刻表編集の裏側を明かします。

第2章 時刻表を学ぶ 時刻表は万能事典
→旅行系専門学校の講師が、使いこなし術を紹介します。

「史料」としての時刻表
→鉄道史研究の第一人者が、鉄道開通から太平洋戦争中までの時刻表発展史を解説します。

第3章 鉄道躍進の瞬間を刻む 記憶に残るダイヤ改正
→戦後の鉄道史に残る昭和の六大ダイヤ改正を紹介します。

第4章 時刻表を彩った優等列車たち 列車速度の変遷をたどる
→東海道・山陽本線、東北・函館本線の二大ルートのスピードアップの変遷を紹介します。

時刻表を駆け抜けた名列車
→超特急から名脇役の急行まで、時刻表を彩った数々の列車を紹介します。

第5章 時刻表の進化をたどる 表紙から見る鉄道史
→印刷技術や出版業界の変化とともに変わっていった時刻表の表紙を検証します。

時刻表記号学
→時刻表を少しでも見やすくするため、時刻表編集者が「記号」に込めた工夫を見ていきます

時刻表の進化を占う
→列車検索アプリ全盛のいま、これからの時刻表はどうなっていくかを検証します。

第6章 時刻表とミステリーの関係 時刻表トリックの秘密
→ミステリーの定番、時刻表トリック。名作を例に、設定の仕方を解き明かしていきます。

松本清張の『点と線』“4分間の空白”に迫る
→時刻表ミステリーというジャンルを確立した名著を、テツ目線で解説していきます。

第7章 壮大なる鉄道旅の記録 東京発、巴里行き
→戦前の時刻表に載っていた、東京からパリ、ロンドン、ローマを結ぶ国際列車の時刻を検証します。