鉄道で台湾一周!同名駅や台湾で活躍する日本製車両たち
日台大学生が鉄道で台湾を一周
台湾観光局は、「青春・若旅 2018~似ている数が多いと好きになる~」プロジェクトのスタートとして、2018 年8 月 24 日(金)に台湾にて行われた出発式や現地レポートを公開。
プロジェクトでは、日本の大学生と台湾現地の大学生がチームを組み、日本国内にある駅と同じ名前を持つ台湾の同名駅、32 駅を鉄道で巡った。
学生たちは、鉄道カメラマン・村上悠太さんとともに各地域の様子を撮影し、自分たちの足で見つけた台湾の魅力を、Facebook「台湾見っけ!」で発信。
「青春・若旅 2018~似ている数が多いと好きになる~」プロジェクト
一般社団法人日本旅行業協会発表の「2018 年度夏休み旅行ランキング海外部門」で 1 位になった台湾(昨年度は2位)。
プロジェクトは、まだ知られていない台湾の魅力を発信するために立ち上がった。
台湾と日本にある 32 の同名駅を舞台に、日本の大学生と台湾現地の大学生が新たな台湾の魅力をアピールするもの。
鉄道写真家・村上悠太さんとともに、鉄道で各駅を巡り、その土地の魅力を写真で発信。
撮影した現地の写真は、Facebook の特設ページで随時アップ。最後には、「いいね」の数や現地でのミッションをポイント化し集計して、優秀作品を決定。
<台湾観光局 HP>
<facebook ページ「台湾見っけ!」>
日本と台湾で同じ名前の駅は、32 駅!
台湾には、日本時代に整備された鉄道網が現在も生かされている。
さらに使っている文字が日本の漢字とほぼ同じため、32 ヵ所の同名駅が存在。
また、駅舎のデザインにも、昔の日本の駅のようにレトロなものが数多く残っている。
ガイドによると 32 の駅名は、日本人が呼びやすい人物名や地名からつけられたものがほとんど。しかし一部例外もあるそう。
「富貴駅」はもともと 1962 年に「南河駅」として開業したが、同じ路線の栄華駅と組み合わせると、北京語の四字熟語の「栄華富貴(身分が高く富み栄えること)」となることから 2003 年に改名。
偶然同名となった、異色の成り立ちとなっている。
<同名駅 一覧>
板橋・桃園・富岡・大山・日南・清水・追分・豊富・豊原・大村・田中・水上・新市・大橋・岡山・竹田・東海・大里・亀山・中里・新城・平和・豊田・南平・大富・瑞穂・池上・関山・竹中・横山・富貴・松山
台湾で活躍する日本製の車両たち
台湾では、日本の工場で製造した車両も活躍している。
代表的なのものは「自強号タロコ(太魯閣)列車」と「プユマ(普悠瑪)列車」。
曲線区間が多い路線でのスピードアップを実現する「振り子式」などの車体傾斜機構を採用しているのも日本と同じ。
「日本製車両が台湾鉄道の速達化に貢献できているのはうれしい」と鉄道写真家・村上悠太さんは語った。
鉄道写真家・村上悠太さんに聞く台湾鉄道の魅力
―台湾を訪れるのは 4 回目とのですが、今回の印象を教えてください。
とにかく日本を大切な存在と考えてくださっているという印象です。台湾の学生さんたちは日本語がとても上手で、ジャパン・ウェルカムという感じ。
僕は短い間隔で何度も来ていますが、台湾は最高です。
最高じゃなかったらそんなスパンで 4 回も来ない(笑)
これだけ近い距離で異文化、でも日本に近いところも魅力。来るのに気負わなくていいんですよね。
台湾は南下するごとに“濃く”なっていく。
また、車窓がすごくきれいなんです。
海岸線をずっと走る区間もあって、美しさに目を奪われます。
古い駅を大切にしているのもすてきです。
日南駅なども古い木造駅舎ですが、今でも修理して使っている。
文化を継承していく姿勢には学ぶべきところがあります。
―最も印象深かった駅はどこですか?
亀山駅です。広がる海の横を列車が走る様子は圧巻です。
今回のキービジュアル用に撮った写真には「プユマ(普悠瑪)号」という列車が使われていますが、これは日本製なんです。
日本で作られた列車が、日本までつながっている東海岸の横を走る。不思議な縁を感じました。
―さまざなな鉄道を撮影してきたと思いますが、台湾の鉄道を撮影した感想を教えてください。
他の国に比べて、日本の鉄道文化に近いと感じました。
駅弁があったり左側通行だったり。何より「客車列車」が多いのがうれしい。
モーターが付いていて自立して走れる車両と違い、客車列車は自分で走れません。音もすごく静かです。走り出したときの引っ張られる感じが、またたまらない(笑)
車両の作りも力強いデザインで味があるんです。
思わずカメラを向けたくなります。
日本ではほぼ見られなくなったのに対して、台湾は客車列車がまだまだ主流。日本から来た鉄道ファンはみんな「おっ、客車列車だ!」と胸が熱くなること間違いなしでしょう。
機関車ががんばって引っ張っていく編成美。そういうロマンが台湾では日常です。
30 年選手の車両などもまだまだ現役なんです。
ーー「台湾のレア車両」を教えてください。
本当にわずかですが、台東のあたりにエアコンなどもついていない「旧型客車」が走っています。
空調がないので、暑いときは窓を全開にして海岸線を走る。いつ引退してもおかしくないので、ぜひ記念に乗ってみてほしいですね。
<村上悠太さん プロフィール>
村上悠太(むらかみ ゆうた)
1987 年 1 月、鉄道発祥の地新橋生まれ。
日本大学芸術学部写真学科を卒業後、
有限会社レイルマンフォトオフィスに入社。
2017 年に独立し、フリーランスの鉄道写真家として、鉄道誌、旅行誌、カメラ誌を中心に活躍。
撮影の講師や講演を多数務めるほか、鉄道会社カレンダー、ポスター等でも活躍。