スポーツ庁が推進する「スニーカー通勤」が3月から本格的に動き始めた。たとえば、アサヒ飲料、高島屋、三菱地所、東急電鉄などは、このスニーカー通勤に共鳴し、実際に採り入れ始めている。

そのいっぽうで、業界の調査によれば、「(通勤は)どこまでカジュアルでいいのか」「どんな服を着ていけばいいのかわからない」といった声も多く、スニーカーとトップスの間のボトムスに、ジーンズを組み合わせるというトレンドがある。

たとえば、伊藤忠商事は、ジーンズを曜日限定で着用を認め、ハイアットホテルグループのアンダーズ東京は、「利用者が肩ひじはらず、リラックスできるように」と、スタッフがジーンズを着用しはじめた。

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また昨年、ユニクロがビジネスパーソンを対象に実施した調査によると、彼らの8割がジーンズ着用を許していることがわかった。

調査結果…国内のリアルなジーンズ事情

ビジネスパーソンはジーンズでの仕事に憧れながらも断念

約半数が「職場にジーンズをはいていきたい」と憧れているが、実際にビジネスでジーンズをはいている人は約2割にとどまっている。

ビジネスシーンでジーンズはアリ? 8割近くが「はいてもいい」

着用を断念する理由は、「なんとなく」「着てはいけない雰囲気がある」など根拠がない理由が大半。その反面、ビジネスシーンでのジーンズ姿を 8 割近くが支持。会社の歴史が長く、就業規則の厳しい業種でも6割が支持。

ジーンズは知的な印象を与え、クリエイティブなイメージも

ジーンズ姿だと、より好印象を受けると6割が回答。「カジュアルさ」「親しみやすさ」など親近感のほか、クリエイティブな印象を与える傾向。

相手への印象を変えるほか、ビジネスシーンで自身にメリット

はいている本人にも、「リラックスできる」「自由な発想ができる」など心理面でポジティブな効果も。

現状の閉塞感にブレークスルー

スタイリストで服装心理カウンセラーの久野梨沙氏は、「ジーンズの着用がもたらす効果」について、こう伝えている。

「洋服は、色・質感・形で演出できるイメージが変化する。ジーンズは、糸が太く、目が粗いざっくりとした生地の質感を持っていることからも、親しみやすさを演出するのに最適」

「また着心地は、着る人の心理状態を左右させる。もともと作業着むけに開発されたジーンズは、じょうぶなうえにはくことに緊張感がないため、自然とリラックスした状態へと導く」

これまで1万人以上にスタイリングをアドバイスしてきた久野氏が、服装心理学の観点で監修したビジネスシーンでのジーンズコーディネートが、これだ。

快活さとコミュニケーション加速を

たとえば、左から2番めの男性は、メーカーの営業マンや商社、人材業界、自動車ディーラーなどで勤務するビジネスパーソンをイメージ。

「トラッドテイストな組み合わせで安心感を与える。ニットは“快活さ”を感じさせ、同僚やクライアントとのコミュニケーションを加速させる効果のあるオレンジをチョイス」と久野氏。

さらに久野氏は、「ビジネスにブレークスルーをもたらし得るジーンズの可能性」について、こう伝えている。

「こうしたジーンズの着心地も、自由な発想が求められる現代のビジネスシーンにおいては大切な心理的効果」

「とくに現代は、IT化やグローバル化がすすんだことで、それまで有効だった考えや方法が通用せず、多様性によるイノベーションが求められている」

「型にはまらないカジュアルなジーンズスタイルを取り入れることこそが、人に、職場に自由度をもたらし、閉塞感のある現状にもブレークスルーをもたらしてくれるのではないか」