左下から登ってきました。71.4パーミル?って勾配標が表しているのはどちらの勾配でしょうか。右上からスイッチ・バックした後に登ってゆく線路が降りてきます。バラストが新しいですね。

右側に登山鉄道の設備があります。箱根登山鉄道は沿線に余分な平地が少ないのでやりくりがタイヘンそうです。

中途半端な踏切が気になります。工事用の重機を入れる為のものかもしれません。保線員さんたちが何か作業を進めていました。足下には分岐器の一部らしきレールがあります。右には見えていませんが小型重機も用意されていました。

ADVERTISEMENT

列車交換用にこの様な分岐器が設置されています。機能的にはシザーズ・クロッシングと同じ様に思われます。

上り箱根湯本方面行が先に出発して行きました。

1997年(平成9年)に導入された2000系電車”サン・モリッツ号”第三編成「氷河急行」色です。71.4パーミルでも車両の傾き方はなかなか急です。

標高337mの大平台駅1番線ホーム。出山信号場から1.6kmで115mも登ってきました。平均しても71.9パーミルあります。箱根湯本駅(94m)からは、3.8kmで243m登ったことになります。箱根湯本〜大平台の区間平均が64パーミル。まぁ、「箱根八里は馬でも越すが」と言われますが、いずれにしても歩いて登ってもシンドイ勾配です。箱根駅伝の学生選手諸君は走って登るのですから、ハッキリ言って凄いです。

スイッチ・バックしたので、ここからは前面展望です。右の勾配を登ってゆきます。

次の上大平台信号場は標高346mなので大平台駅との標高差は、わずかに9m。勾配は緩やかです。それよりも前面ガラスの汚れ(上部のワイパー拭き残し)が目立ちますね。こればかりは「乗客」としては「如何ともし難い」のです。勝手に拭くワケにもいきませんから。だいたい手が届かないし。(笑)

右上からこの先の上大平台信号場でスイッチ・バックした後に、登ってゆく線が降りてきました。線路脇に「設備」があります。

前面展望はあっと言う間に終わってしまいそうです。次の上大平台信号場が最後のスイッチ・バック。信号場で進行方向が換わると終点の強羅駅まではそのまま、ということはずーっと後方展望ということになります。もしかすると箱根湯本で最後尾に乗って後方展望で撮影をスタートした方が良かったのかもしれません。後の祭りですが。

では、【私鉄に乗ろう95】箱根登山鉄道 その8 に続きます。

追記:

このコラムは、2019年9月に書かれたものです。御存知の様に、2019年10月12日に関東から東北に上陸した大型で強力な台風19号は、関東甲信越と東北地方に甚大な災害をもたらしました。台風によって亡くなられた方々のご冥福をお祈り申し上げます。被災された皆様にお見舞い申し上げます。

また台風19号は箱根登山鉄道にも甚大な被害をもたらしました。箱根周辺では、1,000ミリを越える途方もない雨量が記録されたのです。ニュース映像などを見る限りでは路盤や橋梁などの被害は凄まじい状態です。長い歴史と風雪に耐えてきた箱根登山鉄道が箱根湯本駅と強羅駅間で運休という事態になっています。

事態はなお流動的ですが、被害に遭われた箱根登山鉄道にお見舞い申し上げるとともに、一日も早い復旧を心からお祈りいたします。

また復旧などの情報も随時。お知らせいたします。

(写真・記事/住田至朗)