大蛇ですよ。駅の所在地は、青森県三戸郡階上町大字道仏字大蛇。大字(おおあざ)道仏(どうぶつ)もすごいけれど、字(あざ)おおじゃというのも珍しい。1956年(昭和31年)に駅が開業した時からこの駅名です。

文字とか言葉に対する感覚は人それぞれなので、筆者が感ているほどの驚きはないかもしれませんが。地元の人には”当たり前”ですし。

八戸市史民族編によれば、

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むかし、階上町赤保内の殿様が、隣の殿様へ娘を嫁にやることにした。途中に大沼があり、遠い道を行くより、沼の狭くなった所に橋を架けて渡ることにした。そこで、両家で金を出しあって橋を架けて嫁を送り出した。ところが途中で、ホロド沼の主「大蛇」に捕まり、一同は喰われてしまった。
赤保内の殿様は、娘の仇討ちをするため、村人の鉄砲隊に命じ、蟇(がま・ひきがえる)の皮で作った「蟇笛」で、大蛇を誘い出し鉄砲で撃ったが、逃げられた。
大蛇は村人達に追いかけられ、階上町の角柄折(つのがらおり)で角を折られ、道仏(どうぶつ)で胴を切られ、茨島(ばらしま)で骨をバラバラにされ、大渡で尾っぽ(しっぽ)を切られ、耳ヶ吠(みみがほい)で耳をもがれ、石鉢で肉を切り取られた。
そして、大館地区に入り、花生(はなおい)で鼻を切られ、野場で野ざらしにされ、新井田で肉を切られ、館越(館串)で串ざきにされ、吹上で吹きとばされたという。

この民話、めいっぱい地名が織り込まれていて凝っていますね〜。

(写真・記事/住田至朗)