西武鉄道「サステナ車両」公開 5月末から国分寺線で走り始める元・小田急のニューフェイス
元・小田急の車両が西武線を走る
西武鉄道(埼玉県所沢市)は10日、狭山市の南入曽車両基地で「サステナ車両」第一弾となる西武鉄道8000系を報道公開しました。本形式は小田急電鉄の8000形を西武仕様に改造したもので、玉川上水車両基地に所属し、2025年5月末から西武鉄道の国分寺線で走り始めます。
「サステナ車両」は「他社から譲受したVVVFインバータ制御車両を西武鉄道独自の呼称として定義」したもの。同社は2030年度までに車両のVVVF化100%を目指しており、支線系の車両を置き換えるため、他社からVVVF化済みの車両を導入したというわけです。
本日公開された西武8000系(元・小田急8000形)の運行線区は国分寺線ですが、今後譲受する東急電鉄9000系は多摩川線・多摩湖線・西武秩父線・狭山線で運行予定。サステナ車両の導入数はあわせて約100両、年間約5,700t(約2,000世帯の年間排出量)のCO2が削減できる見込みです。使用電力量は旧型車両(直流モーター社)比で約50%削減と、相当な省エネ効果が期待されます。
【参考】「サステナ車両」第1弾がとうとう西武へやってきた 小田急8000形を西武新101系263Fが牽引する場面も
https://tetsudo-ch.com/12961000.html
デザインは若手社員の発案をベースに
西武8000系の外観は、同社のコーポレートカラーである「ブルー」「グリーン」をベースに、「永遠」や「発展」、「繁栄」を表す市松模様にアレンジしたデザインとなりました。側面も市松模様で彩り、西武鉄道のロゴだけでなく、乗務員扉上やフリースペースのマークを加えています。
デザインのちょっとした裏話。「サステナビリティを重視しつつ、西武らしさや地域との共生、環境負荷低減をアプローチできるデザイン」で募集をかけたところ、社員38名から計75作品の応募があったといいます。最終的に入社3年目の若手社員が発案したものをベースに、30000系や40000系で培った知見からひと捻り加え、今のデザインに決定しました。
車内で一番大きな変化は「車端部の座席」
西武8000系の車内で一番大きな変化があったのは、やはり車端部の座席でしょうか。元々小田急では「4人掛け」で、スタンションポール(手すり)は真ん中に配置されていました。しかし小田急でも「4人掛けは狭い」という意見があったそうで、改造にあたり3人掛けに変更。手すりの位置もずらしています。
鉄道ファンの心をくすぐるのはやはり小田急と西武の名前が記載された車内銘板でしょうか。このほかにも照明を蛍光灯からLEDに変更し(※今回公開された車両は小田急時代にLED化されていない編成)、防犯カメラを取り付けるなど、細かい部分に手が加えられています。
役割としては支線に入れるショートリリーフの車両なので、西武線で走るためにATSを取り換えたり、メンテナンスしやすくするための改造は施されていますが、内装面に関しては小田急時代と比べてさほど大きな変化はありません。
西武鉄道はサステナ車両の改造工事の様子を同社YouTubeチャンネルで公開しており、映像で見たい方はそちらもあわせてご視聴ください。
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