【私鉄に乗ろう 04】上毛電鉄

2016.11.24

何と言っても10年前、2006年に公開された映画「暗いところで待ち合わせ」の印象が大きかった。実は本編を観ていないのだが予告編で「懐かしい井の頭線」が出てきて筆者は心底ビックリしたのだ。子供の頃から鉄道好きではあったがサラリーマン時代は出張に時間がかかっても鉄道を使う、とか少し遠回りをするといった程度の乗り鉄に過ぎなかった。

私事で恐縮だが、筆者(の実家)は小学2年生だった1964年夏にJR中央線の阿佐ヶ谷から井の頭線の久我山に引っ越した。それで京王電鉄・井の頭線を使う様になった。当時はまだ緑色の初代1000系がたくさん走っていた。小学生は久我山から吉祥寺の運賃が5円だった。きっぷの自動販売機など無い時代で、出札窓口の大理石に穴の開いた5円玉をパチンと置いたものだった。

オールステンレスの3000系電車は既に登場していたと思うが中学生になった頃(1968年)には3000系が急速に増えた。中学の通学路に久我山駅があったので、「電車がディスク・ブレーキ」(パイオニア台車)というのが踏切で電車の通過を見送る度に印象的だったのである。その後、高校通学・大学(2年まで)で毎日久我山〜吉祥寺間を利用した。つまり圧倒的に京王3000系ステンレスカーに慣れ親しんでいた。

そして或る日「暗いところで待ち合わせ」の予告編で懐かしい京王3000系ステンレスカーに再会した。それが今回乗りに行った上毛電鉄だったのである。映画の予告編から10年が経ってしまった。

上毛電気鉄道は1926年(昭和元年)に設立され1928年(昭和3年)に現在の西桐生〜中央前橋間25.4kmを開業した。90年代以降乗客減少に苦しんでいる。2007年からは群馬県と沿線自治体の補助金を受けて運営している。

まずJR桐生駅から徒歩5分少々の西桐生駅に行った。1928年(昭和3年)開業時の駅舎。国の登録有形文化財だ。
西桐生
※この「私鉄に乗ろう」の写真は、筆者がプライベートで旅行して撮影したものです。鉄道会社さんから許可をいただいていませんので、乗車券があれば誰でも入れる場所からの写真です。素人のスナップ写真なのでクオリティーには目をつぶってご笑覧ください。

改札口。懐かしい雰囲気だ。ホームには元京王電鉄3000系=上毛電鉄700形が停まっている。
改札

ホームに上毛電鉄700形716、種車は京王電鉄3000系デハ3000なのでこちらが動力M車両だが中間車なので上毛電鉄に来た時に運転台を新設している。
716

中央前橋側先頭は上毛電鉄700形726、こちらは同じくデハ3050なので電装解除した上で運転台を新設したものだ。
726

つまり運転台は上毛電鉄700形になって新設されたもの。正面窓下に通風口が無い点がオリジナルとの相違点。716ー726の第6編成。

中央前橋に向けて出発進行。これが京王重機整備で施工された運転台。運転席の周辺はこの様になっていて、進入不可である。前面展望を撮影するのが通常よりもさらに困難だった。失敗している写真も多い。
運転台

さっそく1つ目の「丸山下」、ホームがカーブしていて撮影に失敗。要するに身体を支えるものが無いのでカーブで揺れた拍子に望遠で撮っている画角が明後日を向いてしまった。

富士山下、紅葉が綺麗だ。富士山が駅のそばにあるらしいが標高170mの小さな山。山頂に浅間神社もあって富士山信仰で全国に散在する「富士山」のひとつとのこと。
駅名標

桐生球場前。1面1線の棒状駅。駅手前で近づいて来て、ここから東武桐生線が併行する。東武桐生線に駅はない。
桐生野球場前

駅名標。2006年開業、上毛電鉄では最も新しい駅。正面200mのところにわたらせ渓谷鐵道の「運動公園」駅がある。
桐生野球場前

東武桐生線と並走して赤城に近づく。東武桐生線はここが終点。
赤城

ちょうど東武には8000系電車が居る。上毛電鉄は第3編成(713ー723)と列車交換。
赤城

赤城駅名標。1928年(昭和3年)開業時の駅名は「新大間々」だった。そう言えばわたらせ渓谷鐵道に「大間々」という駅がある。1958年(昭和33年)に赤城と改称。
赤城第3編成

第3編成。運転台は京王オリジナル。しかし、京王電鉄はフロントのFRPを改修して鉄板に替えてしまった後に廃車したのでオリジナルは社外に移転した車両にしか残っていない。
赤城

この時点で乗客は筆者だけ。
車内

新里。上毛電鉄の交換可能な駅で相対式ホーム2面2線はこの駅だけ。
新里

北側に側線があって東武鉄道から譲受したホキ2がバラスト散布用の保線車両として留置されていた。
新里ホキ

右車窓に赤城山が広がる。良い風景だなぁ。
赤城山

粕川で第2編成と列車交換。
粕川

大胡。右奥に車両基地(列車区)が見える。駅舎などが国の登録有形文化財。
大胡

側線に第1編成が留まっている。
大胡

鉄道模型の様なモノが見える。この駅が映画「暗いところで待ち合わせ」のロケ地だったらしい。
大胡駅名標

アップで撮ると車両に”デハ101”と記されている。誰が何のために作ったのか、分からないが屋外に展示してある事を考えればカナリ精巧だと思う。
大胡鉄道模型

群馬県立心臓血管センターがある。木製の橋が気になる。
群馬県立心臓血管センター

第4編成”走る水族館”と列車交換。
第4編成

駅名標。片貝という駅名は1984年(昭和59年)に第一次特定地方交通線で廃止された旧国鉄魚沼線(起点・信越本線来迎寺〜西小千谷)にもあった。魚沼線の片貝は1911年(明治44年)開業なので1928年(昭和3年)開業の上毛電鉄片貝よりも遥かに古い。この魚沼線はそもそもが軽便鉄道で敷設され、その後国鉄に買収されたが戦後1954年まで762mmの特殊狭軌だったという路線だ。
片貝

西桐生から52分で中央前橋に到着する。頭端式3面3線。第7編成が停車している。
中央前橋

西桐生から乗って来た第6編成(右)と第7編成。両方とも中間車両に運転台を加工した編成だ。
中央前橋

JR前橋までのシャトルバスが上毛電鉄と接続していてすぐに発車というので慌てて飛び乗った。上毛電鉄中央前橋駅はバスの中から。
中央前橋

約10分ほどでJR前橋、料金は100円。ちょっとレトロなデザインのシャトルバス。
シャトルバス

斯くして抜けるような秋空の下、残念ながら非常に乗客の少ないことを実感しつつ上毛電鉄の旅を終えた。「ぐんまワンデー世界遺産パス」(2100円)を購入したので、この日は群馬県内のJR線、上毛電鉄、上信電鉄、わたらせ渓谷鐵道(沢入まで)東武鉄道が乗り放題なのだ。乗車券西桐生〜中央前橋は670円である。

(写真・記事/住田至朗)


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