【鉄旅番外篇 1】 大船渡線 盛〜気仙沼間に乗る
2011年(平成23年)の東日本大震災で不通になったままの大船渡線盛〜気仙沼に乗って来た。実際は代替交通のBRT(bus rapid transit、日本語では「バス高速輸送システム」とも呼ぶ)に乗って来たということ。
三陸鉄道南リアス線で釜石から盛に着いた。JR盛駅。古い駅舎を覚えているが、改装されて全く鉄道の駅という感じではなくなってしまった。少し淋しい。
旧ホームがBRTの発車ホーム。一応鉄道風にはしてある。
これが気仙沼から到着したBRT。朝から不安定な天気で雨や雪がパラつき、車体が酷く汚れている。実際に乗って、途中に工事区間が多いからだと後で分かった。
これが専用の道路。単線をそのままアスファルトで固めただけ。急いで工事したからなのか非常に舗装が凸凹していて乗り心地は良くない。隣に三陸鉄道の線路が列ぶ。線路を剥がして信号(設備)まで撤去している。新たに鉄道を敷き直すには数百億円のコストがかかるだろう。
鉄道の時に踏み切りだった場所はバーが逆にBRTの道を塞ぐようになっている。右の看板を見れば分かる様に他のクルマやバイク、自転車、歩行者を進入させない為のものだ。しかし何カ所か、一般道を走る自家用車などが割りにきわどい(信号無視ギリギリの)タイミングでBRTの前を横切った。一瞬ヒヤリとしたが日常なのかBRTの運転士は無反応。
これが大船渡駅。どういう理由か分からないがホームも駅舎も跡形なく撤去されている。駅によってはホームの痕跡が残っている場所もあった。JR東日本は鉄道の痕跡を消そうと懸命なのではないか、という印象を受ける。
盛行のBRTと交換。元が単線なのでバス同士はすれ違えない。
陸前高田、海に向かって降りていく。写真にはないが土木の祭事でもやっているかのようなダンプカーの量だった。重機の量も凄い。震災から時間も経っているのに、まだまだ手を付けたばかりという印象だ。いかにたいへんな工事なのか・・・。
陸前高田駅。オリジナルとはかなり離れた場所。みどりの窓口があるのが奇妙だ。BRT専用ととにかく無闇に書いてある。
金属で固められた「奇跡の一本松」。駅があって観光客らしき人たちが降りた。
トンネルは鉄道のものに手を加えて使っている。
気仙沼駅に到着。駅に着いた、という感慨はない。申し訳ないが味気ない。
BRTに乗って感じたこと。鉄道好きとしては、低コスト以外、褒めるところがない。
1 単線を専用道としたのでバスには幅が狭すぎてスピードが出せない。せいぜい50km/hくらいでもガードレールが近いのでちょっと怖い。
2 旧踏み切り、BRT同士の交換用信号など徐行、停止が頻繁。
3 結果的に鉄道よりも時間がかかる。
4 ハッキリ言って殆ど路線バス、専用区間だけならば定時運行が可能だろう。少人数向けの公共交通としてはとても合理的だ。しかし、かつて特定地方交通線を国鉄(JR)バスに置換した結果、その多くが廃止されてしまったことを思うと将来にやや不安を感じる。
5 意味のないことかもしれないが、鉄道にある独特の情緒がない。
最後に、東日本大震災前の気仙沼駅の写真。開業80周年なので2009年(今年は開業87年)。個人的にはコッチの方が好きだなぁ。
※写真は全て筆者が撮影したものです。