史上初の学生パッケージデザイン頂上決戦! 世界選抜18人が2時間でデザイン&プレゼンに挑戦、その結果は…!?
これぞまさに、東京2019オリンパック―――。
これ、東京2020オリンピックの誤記じゃない。この↑↑↑の画像、アスリートのようにみえて、実なみんなデザイン系の学生。彼らが挑んだのは、世界初のパッケージデザイン競技。その名も……。
『OLYMPAC東京2019』
見てのとおり、この競技には、日本をはじめ、アルファベット順で中国・フィンランド・フランス・インド・インドネシア・イタリア・日本・韓国・マレーシア・フィリピン・ロシア・シンガポール・スペイン・台湾・タイ・イギリス・アメリカ・ベトナムと、世界各地から参加。
彼らはパッケージデザインを学ぶ世界18か国・地域の学生約5000人から選ばれた18名なんだって。
この OLYMPAC東京2019 を手がけたのは、パッケージデザインを学ぶアジアの若者をサポートしている一般社団法人アスパック協会と独立行政法人国際交流基金。
なぜこうしたパッケージデザイン競技 世界大会を開催したかというと、これがまた切実な国内事情が……。
先頭集団を走る海外勢と、それを追いかける日本勢
そもそもパッケージデザインって聞いて、どう想う? 実は、国内のパッケージデザインは、こんな事情がある。
「素材メーカーや印刷会社など、パッケージに関わる周辺業界で日本の技術力は世界のなかでトップクラス。でも、スーパーやドラックストアなどで売られている商品は、すべてパッケージデザインが施されているのに、日本国内で『パッケージデザイナー』という職業の認知は低く、専門性のある教育機関がない」(関係者)
そんな国内パッケージデザイン事情とは対照的に、海外では国策として国が支援していたり、職業が確立されていることもある。
こうした国内外の違いから、海外のデザインレベルが上がってきて、ニッポンのパッケージデザインが置いてけぼりになっていると……。
ってことで! 一般社団法人アスパック協会と独立行政法人国際交流基金は、パッケージデザイン・パッケージデザイナーの認知向上をめざして、この「OLYMPAC東京2019」を開催。世界各地の選抜18人が、当日に伝えられた「ペットフード」というテーマでデザイン制作からプレゼンまで挑んだっていうわけ。
で、世界初の学生パッケージデザイン世界大会『OLYMPAC東京2019』を制したのは……!?
犬のおもちゃを意識したパッケージデザインに
初開催「OLYMPAC東京2019」で見事、優勝(金賞)したのは、イタリア代表アレッサンドロ・スパレッティ作「犬のおもちゃを意識したパッケージデザイン」。
「イタリアと日本、そして世界各国にデザインに関する歴史があり、デザインの方向性も異なる。でもパッケージデザインに対して美と機能性を求めているところは同じと、この OLYMPAC東京2019 に挑んで感じた。いつも学校では機能性を求められるけど、美も追求したいと思う」(アレッサンドロ・スパレッティ)
また、審査員で世界的パッケージデザインアワード「ペンタアワード」設立者のブリジット・エブラールとジャン・J・エブラールは、こう総評。
「どの作品もとってもクリエイティブ性にあふれ、いいアイディアがいっぱいあった」(ブリジット・エブラール)
「この短時間で、与えられたテーマのもとひとつのパッケージデザインを考えるのは、とても難しいこと。この有意義なイベントに参加するべく、ヨーロッパから日本に駆けつけることができてうれしい。参加したすべてのデザイナー、そしてササダさん、すてきな時間をありがとう」(ジャン・J・エブラール)
ジャンがいうササダさんとは、一般社団法人アスパック協会 フミ・ササダ会長のこと。ササダ会長は、競技会終了後にこんなコメントを。
「1時間45分という限られたなかでデザインするこの競技で、各国の多様なアイデアと技がみえた。観客も、各チームをとらえたカメラで彼らのデッサンや描画をリアルタイムに観ることができて、盛り上がっていた」
「ヨーロッパの人はAdobeに慣れているせいか、デジタルツールですばやく描いていた。アジア勢で印象的なのは、フリーハンドでデッサンする選手の姿。マレーシアが銅賞を獲得したのは、そのフリーハンドの技術じゃないか。今後もこうした競技を通して、パッケージデザインをもっともっと知ってもらいたい」
―――世界各国のデザイナーが描く、パッケージデザインとプレゼンテーションを観て感じたのは、パッケージが訴えかけるメッセージや想い、優しさ、楽しさの多様性。
国民性や地域性もにじみでるパッケージデザインの世界って、こんなにおもしろいんだ、って。
<ASPaC Awards 2019>
https://aspac.jp/
tokyochips編集部