トップ画像は、日ノ出町駅で2100形同士がすれ違っています。両方とも「けいきゅん」のキャラクター付き。

日ノ出町駅前から県道218号線を渡ります。この道を北に800mほどでJR根岸線の桜木町駅。それこそ初代の横浜駅です。

何やら古い煉瓦の柱が並んでいます。

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ちょうど反対側に日ノ出町駅があります。

オルガン広場という名称。横浜開港後、千葉県出身の三味線職人だった西川虎吉さんがドイツ人、イギリス人からピアノ製作を学び、明治13年頃創業、明治16年(1883年)日ノ出町に西川オルガン製造所、日本で最初にオルガン製作工場を作りました。西川さんの死後、日本楽器(現・ヤマハ)に合併されましたが、西川オルガンはブランドの信頼が高かったため戦前は日本楽器のオルガンには「Nishikawa」と刻まれていたそうです。日本で最初のオルガン工場を記念してオルガン広場と名付けられています。日ノ出町近辺の歴史的な記念物の案内がありました。

交差点の向こうに光音座という建物が見えました。ネットの「レポート現場潜入モノ」でゲイのおっちゃんたちの溜まり場というのを読んだコトがあります。筆者は他人の生き方と趣味には全く関与しないのでゲイでも何でもご自由にどうぞ、というスタンスです。足さえ踏まないなら隣でどんな踊りを踊るのも自由です。

こんな看板です。こりゃ、地上波では取材できないかな。

正面入口。佐川急便のお兄さんは荷物を届けに来たダケです。写真を撮っていたら客らしいおっちゃんに興味深そうに見つめられたのでトットと逃げてきました。入場料は、ゲイ映画が1580円(学割1160円)、普通のピンク映画(死語?)が1260円(学割・シニア割1050円)でした。

高校生の頃に徹夜の宿泊代わりにオールナイトのピンク映画を観たことがあります。当時はネット喫茶など無かったのです。大蔵映画・OPチェーンでした。「パートカラー」(Hなシーンだけカラーでその前後のストーリー部分はモノクロ)という不思議な映画だし、登場する男優が限られていて、1本目で警察官だったのに2本目ではヤクザ、3本目では花屋さんという凄まじい展開に大笑いしました。昨今はインター・ネット上にアダルト映像が氾濫していますが、これらに接することのできないネット弱者が今でもピンク映画のメインユーザーなのだそうです。

光音座から桜木町駅方面に20mほど歩くと「美空ひばり像」がありました。

美空ひばり(1937-1989)は昭和を代表する歌手、女性初の国民栄誉賞を受賞しています。彼女の実家は横浜市磯子区の魚屋さんでしたが、幼い頃から非凡な歌の上手さで周囲を驚かせていました。8歳の頃には母親が歌手として活動を開始させ、1948年(昭和23年)9歳で横浜国際劇場デビュー。その頃には「美空ひばり」という芸名を使い始めていました。1949年(昭和24年)映画「悲しき口笛」で主演デビュー。映画の中で歌った「悲しき口笛」も大ヒットしました。この「美空ひばり像」は、8歳頃の芸能界デビュー時代から横浜国際劇場のある日ノ出町で母親と通っていたという松葉寿しのご主人の発案で建てられました。魚屋さんの娘が美味しいと言う寿司は評判になったコトでしょうね。

1949年(昭和24年)から日本映画が衰退した1960年代まで、美空ひばりさんは20年程の間に160本の映画に出演し数多くのヒット曲を歌いました。

美空ひばりさんというと筆者が小学生だった頃に流行った「真赤な太陽」(1967年)を歌う「若作りのミニスカートのおばさん」という記憶しかありません。(笑)その当時、美空ひばりさんはまだ30歳だったのですね。筆者は歌謡曲にほとんど興味がなかったので、すみません、よく分かりません。

余談です。日本映画の全盛時代、1960年(昭和35年)には年間547本が製作されたそうですが、筆者はまだ4歳でした。観客動員のピークは1958年(昭和33年)の11億人でしたが、わずか5年後の1963年(昭和38年)には観客動員数も半減します。

東京オリンピックの1964年(昭和39年)には自宅もカラーテレビになって、小学生だった筆者は映画館に「ゴジラ映画と加山雄三さんの若大将シリーズ二本立て」を見に行く程度でした。

1970年代にはさらに日本映画の凋落が続きます。大映は倒産(徳間書店が買収)、日活はロマンポルノ路線に変更。むしろ角川書店が角川文庫とセットで「カドカワ映画」のヒットを連発したことを覚えています。テレビCMの投下量もすごかった。

高校生になった頃からATG(日本アート・シアター・ギルド)で公開されるルイス・ブニュエル、ロマン・ポランスキー、ピーター・ブルックらの監督作品(洋画)や寺山修司、唐十郎、黒木和雄、森田芳光、大森一樹、森崎東、鈴木清順さんたちの作品を観ました。背伸びをしたい年頃だったのです。面白いのか何だか良く分からない作品が多かったのですが、何となくそれも「時代の気分」だった様な気がします。

しかし、何だか「とても濃い」エリアに来てしまった感じです。

めっちゃ楽しいので日ノ出町界隈は、【駅ぶら03】京浜急行52 に続きます。

(写真・記事/住田至朗)