札幌市の路面電車は「市電」と呼ばれ、市民の足として活躍しています。前回は西4丁目を出発し、札幌三吉神社を参拝しながら「中央区役所」まで進みました。今回は山鼻西線で市電好きの聖地「電車事業所前」を目指します。

都会から生活圏へ「西線6条停留場(SC05)」

西15丁目を出発した市電は、西線6条に到着。1931(昭和6)年の開業当時は「南6条西15丁目」という名称でした。この辺りから都会らしい街が影を潜め、沿線は生活感で溢れています。

お菓子が食べたくなる「西線9条旭山公園通停留場(SC06)」

西線9条旭山公園通停留場は、かつては日本一長い駅名を誇っていました。すぐ目の前には「ロッテ北海道統括支店」があり、同社のチョコレートのラッピング電車も走っています。かつては「西線ロール」というロールケーキを販売していた老舗洋菓子店もありましたが、2019年3月に惜しまれながら閉店してしまいました。

1931年11月20日に開業した「西線11条停留場(SC07)」

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中央区幌西まちづくりセンター、南警察署幌西交番、札幌南十一条郵便局、ハローワーク札幌などがあります。

市民の生活圏「西線14条停留場(SC08)」

2001年よりローマ字表記を「Nissen」から「Nishisen」に変更

西線14条停留場にカラフルな電車がやってきました。ほとんどの車両にラッピングが施され、「走る広告」となって走り回っています。日中は5~8分間隔で走っているので、「次はどんな車両が来るのだろう」と楽しみになります。

フォトスポットたっぷり「ロープウェイ口停留場(SC10)」

毎年運行されている「雪ミクバージョン」

西線16条停留場(SC09)を通り過ぎて「ロープウェイ口」で下車しました。藻岩山山頂に向かうロープウェイの最寄停留場で、徒歩5分の場所からロープウェイ乗り場に向かうシャトルバスが発着しています。藻岩山は標高531mの自然豊かな山で、都市の近くながら野生動物や野鳥が数多く生息しています。

カップルで訪れたいデートスポット

山頂からは石狩平野、石狩湾までを一望。夜景は北九州・長崎と共に「日本新三大夜景」に数えられています。宝石の輝きのようなロマンチックな夜景スポットは「恋人たちの聖地」と呼ばれ、ふたりで展望台の鐘を鳴らすと幸せになると言われています。もっと愛を深めたい人は、二人の気持ちをロックする「南京錠」をどうぞ。

※日本新三大夜景
(一社)夜景観光コンベンション・ビューローが、全国の夜景鑑賞士に投票を実施。上位三都市が「日本新三大夜景」として認定されました。

カラフルなラッピング電車がすれ違う

ロープウェイ口停留場近くの歩道橋から西15丁目方面を撮影すると、市電が都市から生活圏に向かっている様子が分かります。この辺りは古い家屋とハイソサエティな邸宅やマンションが混在し、独特な雰囲気を醸し出しています。

札幌市立伏見小学校は1986年に開校

札幌市立伏見小学校の壁面リリーフの前を市電が横切っていきました。小さな男の子が通り過ぎる市電に手を振って見送っていました。何気ない街のシーンが絵になるのも市電の魅力です。

さまざまな市電が楽しい「電車事業所前停留場(SC11)」

「お疲れ様、異常なしです」電車事業所前では乗務員の交代が行われる

約1分で「電車事業所前」に到着。当停留場は1931年に「東本願寺廟塔前」の名称で停留場開業しましたが、名称変更や廃止・再開業を繰り返し、1974年に現名称に落ち着きました。その名の通り電車事業所があり、ここで乗務員が交代します。

夏期に一般公開されています(状況により非公開の場合あり)

電車事業所の敷地内には電車車輌センター(市電車庫)があり、予備の電車や冬に活躍する除雪車(通称ササラ電車)が待機しています。車庫内は4月から11月まで平日は11時、13時、土・日・祝は11時、12時、13時に見学することができます。1960年代に製造されたM100形など、希少な車両を見ることができますので、ぜひ訪れてみてください。

鉄路は「山鼻線」へと続く

近未来的なデザインのポラリスが入線

2013年より営業運転を開始したA1200形「ポラリス」がやってきました。この先、市電は中央図書館前停留場(SC12)を抜けて、ディープな下町へと進みます。引き続き約9㎞の旅を楽しみください。

文/写真:吉田匡和