※2014年3月撮影

トップ画像は、長万部駅構内のキハ150-110。強力な機関(定格出力450PS/2000rpm)を搭載、キハ40形(定格出力220PS/1600rpm)の倍以上のパワーです。JR北海道が積雪急勾配線区での単行運転用に開発しました。非力なキハ40系では閑散路線にもかかわらず出力不足から2両編成が必要だったのです。1995年(平成7年)までに27両作られました。しかし、2020年ダイヤ改正で新型H100形が導入された函館本線の山線(長万部~札幌)での運用は終了しました。

さて、前回は、長万部発の函館本線函館行で八雲駅まで来ました。八雲駅を出ると左車窓に噴火湾(内浦湾)が広がります。

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※2014年3月撮影

落部駅。うっかり部落駅と読みそうになりました。駅所在地名です。1911年(明治44年)開業。

※2014年3月撮影

森駅の手前、2017年(平成29年)に廃止された桂川駅です。石北本線、釧網本線、花咲線などで廃止された駅の様な極端な人口希薄地帯ではありません。駅名標の後、海には立派な漁港があります。駅周辺の人口も三桁は住んでいるのです。結局、高校生以下の若年層と高齢者の移動需要が無いことが原因でしょうか。

※2014年3月撮影

この2017年のダイヤ改正で同じ函館本線東山駅、姫川駅、北豊津駅、室蘭本線の蕨岱駅なども同時に廃止または信号場に格下げになっています。

森駅に着きました。駅名標に、既に廃止された桂川、姫川(現・信号場)が表記されています。

※2014年3月撮影

列車交換かと思ったら1日に1本運転される大沼発の砂原支線経由森行が到着したのでした。キハ40-1809。この車両は、2018年4月から「北海道の恵み」シリーズの道南エリア「海の恵み」に内装改装・新塗装で運用されています。

※2014年3月撮影

森駅の少し東側の海上に明治天皇御上陸碑が建っています。1881年(明治14年)室蘭から航路で森に来た天皇はここに上陸されました。かつては桟橋がありましたが、鉄道開通で使われなくなって朽ち果てたそうです。

※2014年3月撮影

砂原支線に入りました。海側を進みます。

掛澗駅。1927年(昭和2年)函館本線森駅近くから(翌年森駅への乗入れが認可されます)砂原を結ぶ9.4kmの渡島海岸鉄道が開業。その時に設置された駅です。イワシの豊漁などで渡島海岸鉄道は輸送実績も上がりました。

一方、第2次世界大戦下、軍需物資運送に函館本線の軍川駅(現・大沼駅)~森駅間の急勾配はネックで、海側に迂回線(砂原線)が計画され、1945年(昭和20年)渡島海岸鉄道は、買収され廃止となります。しかし、渡島海岸鉄道と砂原支線はルートが微妙に異なっていて、掛澗駅も渡島海岸鉄道時代とは同じ駅ではありません。

1945年(昭和20年)国有鉄道函館本線の支線上に新たに掛澗駅として開業。掛澗は古い地名で、現在は、神社、郵便局、漁港と駅名に残るだけです。

※2014年3月撮影

ここで渡島海岸鉄道や駅名にも頻繁に現れる「渡島(おしま)」について触れたいのですが、長くなるので次回にします。

(写真・文/住田至朗)