不動産・住宅情報サービス「LIFULL HOME’S」が、中古でも流通価格1億円を超える「中古億ション」を調査。東京23区で流通する中古マンションのうち「中古億ション」の割合は、2025年上半期で15.5%に達し、約7戸に1戸が億ションとなっていることが明らかになりました。新築だけでなく中古市場でもマンションの価格高騰が進んでいます。

10年足らずで「億ション」割合が15倍超え


LIFULL HOME’Sの調査によると、東京23区に掲載された中古マンションにおける「億ション」の割合は、ここ10年で急激に増加しています。2015年にはわずか1.0%でしたが、2020年には3.4%、そして2025年(1月~6月)には15.5%まで上昇しました。
LIFULL HOME’S総研の中山登志朗氏は、この背景には円安に伴う資材価格の上昇や人件費の高騰による新築マンション価格の高騰があり、それに連動して中古マンション価格も上昇の一途をたどっていると分析しています。

中古億ション割合の高い区は?


2025年上半期の中古億ションの割合を区ごとにランキング化したところ、都心部への「地域偏在」がくっきりと浮かび上がりました。1位の港区と2位の千代田区では、売りに出されている中古マンションの半数以上が億ションという結果になりました。一方で、10の区では中古億ションの割合が5%未満となっており、区によって状況が大きく異なることが分かります。

人気の駅は「勝どき」! 中古億ション問合せ数ランキング


実際にユーザーからの関心が高いのはどのエリアなのでしょうか。2019年から2025年6月までの首都圏における中古億ションへの問合せ数を駅別に集計したランキングでは、1位に「勝どき」、2位に「白金高輪」、3位に「広尾」がランクインしました。
注目すべきは、ランキングのトップ20が全て東京23区内の駅で占められている点です。さらにその内訳を見ると、港区の駅が10駅と半数を占め、次いで中央区と渋谷区が3駅ずつとなっており、都心から湾岸エリアにかけて人気が集中している実態が明らかになりました。

専門家が分析する「局地バブル」と今後の展望


LIFULL HOME’S総研の中山氏は、都心一等地では築30年や40年を超える物件でも億ションとして売り出されるケースが増えており、現在の状況を「“局地バブル”を示す現象として捉えるべき」と指摘しています。
同じ23区内でも億ションが集中するエリアとそうでないエリアの差は鮮明です。今後は、築年数が経過しても価格が高止まりする「実需+投資・投機エリア」、築年数に応じて価格が徐々に下落する「実需中心エリア」、築年数に関わらず「安価に流通するエリア」といったように、エリアの特性がより一層分化していく可能性があると予測しています。

新築だけでなく中古マンションにも広がっている価格高騰の波。特に都心部では、中古マンションが富裕層向けだけでなく、一般的な選択肢としても「億ション」化している現状が浮き彫りになりました。今回の調査結果を、今後の住まい選びの参考にしてみてはいかがでしょうか。

(トップ画像:Pixta、その他画像:LIFULL)
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