25年ぶりのジェットフォイル「セブンアイランド結」と鉄道・運輸機構の関係とは?

2020.07.06

「セブンアイランド結」 写真:川崎重工業

川崎重工業株式会社神戸工場において、令和2年6月30日に竣工した「海を飛ぶ船」――ジェットフォイル。実に25年ぶり(※)の竣工ということで、SNS上でも大変な驚きをもって迎え入れられました。

※……共有建造制度によるジェットフォイルとしては26年ぶり。

ジェットフォイルは米ボーイング社が開発した「水中翼船」と呼ばれるもの。川崎重工の説明によれば”タービンエンジンでウォータージェット推進機(ポンプ)を回して海水を噴射し、前後2組の水中翼に発生する揚力で海面から浮上して”航走します。波高3.5m程度まで安定的な運航が可能であることから高い就航率を誇り、離島航路における移動手段として重要な役割を担っています。

翼走速度は45ノット(約83km/時)。国土交通省海事局や日本海難防止協会は航海速力22ノット以上の船舶を高速船、35ノット以上の船舶を超高速船と定義しており、このことからもジェットフォイルがいかに速い乗りものか察せられます。

1987年に川崎重工がボーイング社から製造と販売の権利を受け継ぎ、国内では89~95年までに15隻を製造。現在は7航路で21隻が運航されていますが、製造から年数が経過したことから置き換えが必要になってきました。

しかし、何しろ25年ぶりの建造である上にかかる費用も結構なものですから、いかに川崎重工といえど単独では難しい。ここに関わってくるのが鉄道界隈でも有名な独立行政法人「鉄道・運輸機構」――JRTTです。相鉄・JR直通線や北海道新幹線の新函館北斗・札幌間を建設している組織、というイメージがありますが、実は内航海運事業者と共同で行う船舶の建造・技術支援なども行っており、「セブンアイランド結」の建造にも協力しているのです。

JRTTは7月1日、25年ぶりのジェットフォイルが「共有建造制度により実現」したとリリースを公表しました。「共有建造制度」とは一体何なのでしょう?

船舶共有建造制度とは?

船舶共有建造制度についてJRTTのWEBサイトから引用してみましょう。

「内航海運事業者(以下「事業者」という)の申込みに応じて、事業者とJRTTが費用を分担して船舶の建造を造船所に共同発注します。また、完成までの間の工事監督や検査も共同で行います。完成した船舶は、費用の分担割合に応じて事業者とJRTTが一定期間(おおむね耐用年数)共有します。」

船舶共有建造制度スキーム図(画像:JRTT)

この制度の強みは原則として担保が不要であること。船舶の建造資金を金融機関から借り入れる場合は担保を用意する必要がありますが、共有制度においてはJRTTが共有船の持ち分を直接所有するため、原則として担保が不要になります。

また、固定金利及び5年目毎の見直し金利が選択可能であり、この二つの金利を併用することも可能です。使用料の支払い期間はおおむね共有船の耐用年数となっており、船舶の種類に応じて7年から15年の長期の返済も可能となっています。

その他、共有船はJRTT所有船として建造するためJRTTから多様な技術支援を受けられること、税金面でも優遇されることなど、メリットの多い制度と言えるでしょう。

JRTTは平成28年度、ジェットフォイルの共有建造において、共有期間を通常(軽合金船)の9年から最長15年へ延長する制度の拡充を行い、令和2年度からは共有比率の上限を一定の条件のもと70%まで引き上げることで制度の充実を図っています。こうした動きを知っておくと、今回のジェットフォイル竣工のニュースもより楽しめるようになるかもしれませんね。

ここから先は余談ですが、JRTTと船舶といえば去年も一つ面白い動きがありましたので紹介しておきましょう。JR西日本は2019年に「せとうちエリアへの観光型高速クルーザーの導入に着手します」というリリースを出しており、その建造ではJRTTが2018年度に創設した「国内クルーズ船」の共有建造制度を初めて活用する方向で調整が進められていると述べられています。

広島港(宇品)と三原港とを結ぶ、とびしま海道・しまなみ海道エリアを走る高速クルーザー。しかもデザインを担当したのはあの「ウエストエクスプレス銀河」の川西さんということもあり、鉄道ファンにとっても注目度の高いニュースです。進水日が待ち遠しいですね。

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TOKYOCHIPS編集部

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