【前回】北海道新幹線札幌延伸でどうなる? 函館本線・山線の旅(5)
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2030年度の開業を目指して北海道新幹線札幌延伸のための工事が進められています。開業と共に並行在来線はJR北海道の経営から分離されるため、沿線市町村は鉄道のあり方を協議しています。特に小樽~長万部は乗客が少なく、廃止か存続か揺れ動いています。10年後の札幌開業を控えた沿線の現状を全7回にわたって紹介します。(撮影は全て2020年8月)

駅名を変えるために町名を変更「ニセコ駅」

まるで洋館のような駅舎

ニセコ駅は1904年10月15日に「真狩駅」の名称で開業しました。1906年12月15日に「狩太駅」に改称。1968年4月1日に「ニセコ駅」に改称されるなど3度も駅名が変更されました。「真狩」はアイヌ語の「マㇰ・カㇼ・ペッ」(奥のほうで曲がる川)を由来としています。真狩で一番栄えていた地域は真狩太と呼ばれ、それを省略した「狩太町」が誕生しました。

駅の中にはカレーやハンバーグが美味しいと評判のレストランも

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1963年にニセコアンヌプリ一帯が「ニセコ積丹小樽海岸国定公園」に指定されたことを契機に、狩太町が国鉄に駅名変更を請願したところ、所在地の地名をつけるという方針により却下されたため、1964年に町名を変更し、その4年後に「ニセコ駅」が誕生しました。 かつては全国でも珍しいカタカナ駅名として話題を集めたこともあります。

いつか蒸気機関車が走る日を夢見て

1990年に「SLニセコ号」がニセコ駅まで運行されることになり、根室本線・新得駅から転車台(ターンテーブル)が移設されました。1995年に同列車の運行が終了したため、現在は使用されていませんが、今もニセコ駅に設置されています。

重厚で迫力ある蒸気機関車「9643」

2017年6月にサッポロビール園に展示されていた蒸気機関車「9643」を移設。大正から昭和初期にかけて山線で活躍した車両と同じタイプで、ニセコに相応しい貴重な鉄道遺産として保存されています。

下車すぐに温泉に浸かれる「昆布駅」

1992年4月1日に簡易委託廃止により完全無人化された

昆布駅は1904年10月15日に開業しました。アイヌ語が由来と言われていますが、詳しいことはわかっていません。ニセコ昆布温泉郷の玄関口で、線路を挟んだ駅の裏に地域に密着した温泉施設「幽泉閣」があります。駅の裏側へは連絡橋で行くことができるので、下車すぐに温泉に浸かることも可能。宿泊も行っているので、ゆっくりと滞在するのもよいでしょう。

道内有数の米どころの玄関口「蘭越駅」

清流日本一に輝いた尻別川が流れる町

蘭越駅は1904年10月15日に開業しました。2面2線を有し、ホームは跨線橋で結ばれています。地名の由来はアイヌ語の「ランコ・ウシ」が訛ったもので「桂の木の多い所」という意味があります(しかし町の木はオンコです)。駅前はひらけており、飲食店や書店、衣料品店などもあり、人々の生活の匂いが感じられます。

稲穂がたわわに実る

肥沃な土壌とニセコ連邦の清流が美味しい米を育てます。他の地域のコメ農家が蘭越米を食べて、その美味しさに驚いたという噂も。町内の飲食店には「蘭越米使用」の文字が誇らしげに掲げられています。地元で食べる蘭越米は格別ですよ。

文/写真:吉田匡和

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