JR室蘭本線は、函館本線・長万部~岩見沢までの本線211.0㎞と、東室蘭~室蘭まで7.0kmの支線で構成する路線です。沼ノ端~長万部、沼ノ端から室蘭に特急が走るなど、札幌圏と道央・道南を結ぶ幹線ですが、岩見沢~沼ノ端は本数が少なく、ローカル線のイメージを色濃く残しています。のどかな沿線の情景を全6回に分けて紹介します。

人里離れた原野にたたずむ小さな駅 「古山駅」

1980年5月までは駅員が配置されていた

古山駅は1943年9月25日に古山信号所として設置され、1946年4月1日に駅に昇格しました。 地名は当地を流れる「振寒川」(ふるさむがわ)が変化して「古山」となりました。川名の「振寒」は、アイヌ語の「フル・サム」(丘のかたわら)に由来しています。

1日14人程度が利用

古川~三川はかつて複線でしたが、列車本数の減少に伴う合理化により現在は単線となっています。駅周辺に民家は見当たらず、一日の乗降客も数えるほど。1日に7往復しか停車せず列車交換も行われません。対面式のホームと跨線橋だけが当時の面影を残しています。

故郷への思いが地名に込められた 「三川駅」

駅舎は1980年に改築

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室蘭本線・岩見沢~沼ノ端の旅も中間地点に差し掛かりました。三川駅は1897年2月16日に北海道炭礦鉄道の新駅として開業しました。地名はアイヌ語ではなく、愛知県(旧三河)出身の人たちが、この地に入植したことが地名の由来とされています。周囲は田園地帯で、駅前にレンガ造りの倉庫が建っています。

引き込み線、コンテナ、倉庫に最盛期の面影が残る

駅舎の南側に苫小牧方面から分岐した貨物線を1線、岩見沢から分岐した行き止まり線を1線、1番ホームと2番ホームに上り・下り線を各1線を配しています。かつての1番ホームには国鉄時代のコンテナが放置さりており、最盛期の当時の面影を残しています。

大きな街が形成されていた雰囲気が伝わる

駅に近隣のマップが提示されていたので散策してみました。三川駅から徒歩1分の場所に旅館があり、商店や工場なども点在しています。更地になっている場所にも建物が建っていた形跡が見られることから、比較的大きな街が形成されていたのでしょう。

GLAYのPVのロケ地になったことも

三川駅は北海道を代表するバンド「GLAY」の楽曲「Supernova Express 2016」のミュージックビデオのロケに使われています。この楽曲は2016年3月26日に開業した「北海道新幹線開業イメージソング」で、北海道庁や函館市などからのオファーを受けて書き下ろされました。PVでは4人が列車を待つ様子や車内のシーンが撮影されており、駅名標もしっかりと移り込んでいます。三川駅を訪れた際はスマホでPVを見ながら、どの場所で撮られたシーンなのか確認してみてください。

文/写真:吉田匡和