所定停目、5。
所定停目、5。
1両停車。
1両停車。

そんな自動音声運転指示が流れる、キハ120 321 JR西日本 浜田鉄道部所属 の車内にいる。

20人の乗客をのせて浜田を11:15に発った 326D は、いつもどおり淡々と、山陰線 出雲市駅をめざして東へ走る。

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12月13日、日曜日。きょうの 326D は、普段と同じく、単線の線路を、85km/hでかける。

浜田の次の駅、下府で女子高生が5人降りる。江津では、東京にいる女子と同じ格好・メイクの女の子たちが4人おりる。ふたり組が2組。どこへ行くんだろう。バイトじゃないみたい。カフェ?

山側のボックス席に座る中国人女性ふたりはカーテンをしめておしゃべりがとまらない。

そんな中国人女性ふたりといれかわるかたちで、江津から乗った男子高校生ふたりは、同じボックス席に座って、なにも話さずスマホをずっとみてる。と思ったら、カーテンをぜんぶしめて、爆睡へ。

りりりりーん、ぴっこぴっこぴっこぴっこ……下り列車と交換することを知らせるATS予告音が鳴って、黒松。

黒松駅で12分停車。鳥取を9:29に発った スーパーおき3号 3003D を待つ。けど、発車時刻の12:07になっても、シューペルおき3号がこない。2分遅れでやってきた。

黒松を2分遅れてふたたび走り始めたこちらの 326D は、ちょっとだけ急ぐように、ノッチ全開で坂道をかけていく。

温泉津。仕事先の担当者ふたりがこの温泉津(ゆのつ)で降りるってことで、「すみません、ぼくこのまま出雲市までこの列車にのって、自分の足で出雲空港へ行きます」と伝えて、見送る。

「列車内で作業するけん? わかった。じゃあまた」

馬路(まじ)駅で、ママとぼくちゃんの親子が降りる。入れ替わるように、女子高校生ひとりが普段着で乗ってくる。どこへ行くんだろう。日曜日の12時半。大田市かな。

その大田市、「快速アクアライナー 3452D と待ち合わせ」という運転士の車内アナウンス。快速アクアライナー 3452D に道を先にゆずると。

大田市につくと、客は自分と中年男性のふたりだけ。どうしよう、乗り換えようか。帰りの羽田空港行きJALまで急ぐ必要もないし。どうしよう……。

―――山陰線の海辺は、きょうもおだやか。石州瓦のおうち、国道9号を行くクルマのドライバー、いつもの乗客、まっかな紅葉、青い日本海と水色の空……大好きな山陰線の車窓がつづく。