京都から西へ。中国地方の日本海沿いを走り、幡生(山口県下関市)へと結ぶ673.8kmの線路―――山陰線。

瀬戸内海沿いを行く山陽線・山陽新幹線とは、まったく違う表情をみせるスローな山陰線はいま、そのすべてを特急列車でたどれなくなった。

それでも、「これぞ山陰線」とうなる車窓や景色のなかを行く特急は残っている。いまこそ、体験しておきたい山陰線 在来線特急をチェック。

特急スーパーはくと3号 京都850発 鳥取1157着

京都から鳥取までは、山陰線ではなく山陽線を伝って、途中で一気に中国山地を縦断。瀬戸内から日本海へと出る3時間半の旅。

特急スーパーはくと3号 京都850発 鳥取1157着。

京都を発つと、新大阪・大阪・三ノ宮・神戸・明石・姫路と、京阪神の主要駅にとまり、上郡から北へ進路をかえて智頭急行線・因美線を北上。

海あり山ありの道を、智頭急行HOT7000系気動車が行く。智頭急行線では制御付自然振り子機構をきかせ、曲線で車体を傾かせながら突っ走る。

特急スーパーおき5号 鳥取1306発 新山口1835着

鳥取から新山口までは、いよいよ山陰線のダイナミックな車窓を体感する5時間半の旅。途中、益田からは蒸気機関車列車SLやまぐち号が走る山口線を伝って、こんどは日本海から瀬戸内海へと出る。

特急スーパーおき5号 鳥取1306発 新山口1835着。鳥取(または倉吉など)で、昼食や車内で楽しむ酒や弁当を買い込み、出発。

松江を出ると右車窓に宍道湖、大田市あたりから温泉津、江津、波子、浜田と、日本海と山陰道と海辺の集落がおりなす風景が次々と表情をかえて車窓に映る。

くるまはJR西日本 キハ187系 気動車。こちらも制御付自然振り子機構搭載気動車で、山陰線の急曲線を軽快に走る。

――― 制御付自然振り子をきかせて海沿いの単線線路を100km/h超えで走る豪快さと、日本海沿いの集落のおだやかさが対照的な、山陰線 特急列車の現在形。

あらゆるものが見直されて、合理化・効率化・再考の流でいつ消えるかよめないからこそ、いま体験しておきたい。