国が改良すべき踏切を指定して事故防止を主導する(写真はイメージ:SANTA CITY / PIXTA)

国土交通省はこのほど、国レベルでの「改良すべき踏切」として、全国25都府県の93ヵ所を指定した。2021年4月1日に改正踏切道改良促進法(通称)が施行されたのに伴う鉄道と道路の安全性向上策で、都府県別では東京都の15ヵ所が最多。国は、2025年度末までの対策実施などを関係機関に求めている。

対象踏切は、①ラッシュ時の踏切遮断が一定時間以上、②歩道部分が狭あい、③保安装置の設備強化が必要――などを基準に指定された。都府県別では、東京都に愛知県14ヵ所、千葉県と兵庫県各11ヵ所、岐阜県9ヵ所、大阪府5ヵ所などが続く。指定を受けた踏切は、連続立体交差化(鉄道や道路の高架化または地下化)、道路幅の拡幅、回り道の整備などを2025年度末までに実施する。間に合わない場合は、改良計画の提出が義務付けられる。

法令に基づく改良すべき踏切の指定は、2016年度に制度化された。踏切の改良は鉄道事業者と道路管理者に加え、関係する行政機関や警察、地域の協力が必要で、国が対象になる踏切を定めることで、関係者間の協議を円滑に進めるのが制度の狙いだ。

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2021年4月に施行された改正法は、当初は5年間の時限立法だった改良促進法を恒久化。地震発生時に踏切が長時間遮断されて救急救命活動に影響したことなどを踏まえ、災害時に管理方法を定める踏切道を指定する。

さらに国土交通大臣が許可した場合、鉄道事業者が鉄道施設に障害を及ぼすような植物などを伐採できるほか、災害時の早期復旧のため土地の一時使用を可能にした。

文:上里夏生