民鉄のコロナによるマイナスは〝東高西低〟 アメリカでは人減らしをちらつかせて支援引き出す【コラム】

2021.06.19

航空と公共交通を手厚く支援

残りスペースが少なくなってきたので、先を急ぎましょう。アメリカ政府は2020年3月と同12月、2021年3月の3回、コロナで落ち込んだ経済の立て直し策を出動しました。交通の分野別実績は別表の通りで、航空と公共交通を手厚く支援したことが理解できます。

コロナ禍を受けたアメリカ政府の運輸分野への財政出動(資料:運輸総研 運輸政策コロキウムの発表資料から)

沖本研究員によると、日本とアメリカでは公共交通機関に対する大きな基本認識の相違があります。日本の公共交通は原則、鉄道やバス会社がビジネスとしてサービス提供します。その点アメリカは、採算性は度外視。自治体が住民福祉の観点で移動サービスを提供する事例が多く、採算的にみれば赤字が当たり前です。

アメリカの場合、医療や福祉といったエッセンシャルワーカーにはマイカーを持たない(持てない)人も多く、政府の公共交通への手厚い支援も、社会福祉の一環として理解されているそうです。この辺、日米の交通をめぐる国情の違いが見て取れます。

人減らしや減便をちらつかせて政府の支援引き出す

最後に、思わず私が「う~ん」とうなってしまった話。さすが合理主義のアメリカ、理由はコロナだろうと何だろうと、交通機関の経営が悪化すると、すぐに人減らしの話題が出るそうです。たとえ人は減らさなくても、ダイヤは減便します。

例えば、首都の交通を受け持つワシントンDC交通局(WMATA)は2億米ドル以上(約219億円)の収入欠損があることを理由に、地下鉄やバスの減便、地下鉄駅の廃止などを検討したそうです。これにあわてた議会は、世論にも押される形でWMATAへの支援強化を決議しました。

日本では、「コロナによる減収で地方路線が維持できない」という話が鉄道事業者の会見などでチラホラ出ているようですが、まだ正式な見解表明はない。日米の交通文化の違いというか、私はある意味できまじめな日本の鉄道事業者にエールを送りたいような気持ちになりました。

文:上里夏生


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