民鉄のコロナによるマイナスは〝東高西低〟 アメリカでは人減らしをちらつかせて支援引き出す【コラム】

2021.06.19

アメリカではオフィスは原則テレワーク、レストランは店内飲食禁止

アメリカからのネット中継で現状を解説する運輸総研の沖本主任研究員(筆者が配信画面のスクリーンショットを撮影)

ここから話題を変えて、コロナがアメリカの公共交通機関に与えた影響を探るとともに、日米の鉄道やバスに対する社会的な認識の違いといった視点でこれまでの1年余を振り返りましょう。アメリカの公共交通の近況に関しては、運輸総研が2021年6月3日にオンライン開催した勉強会スタイルの運輸政策コロキウムで、運輸総研ワシントン国際問題研究所の沖本俊太朗主任研究員がリポートしました。

アメリカでは、コロナ感染者数が爆発的に増加した2020年3月、トランプ大統領(当時)が緊急事態宣言を発出しました。主な項目は、オフィスは原則テレワーク、学校は2020年3月からほぼ1年間にわたり全面オンライン授業、レストランは店内飲食禁止など。さらに、10人以上の集会は禁止、商業施設は食料品部門を除いて休業と、「ロックダウン」と称される厳しい規制が敷かれました。

ロックダウン時、ワシントンDCの街角や学校から人影が消えました(画像:運輸総研 運輸政策コロキウムの発表資料から)

日本の鉄道利用客はアメリカの5倍

アメリカと日本の国土や公共交通機関の利用状況を比較します。人口はアメリカ3億3000万人、日本1億2500万人で、アメリカが日本の2.6倍、面積は963万平方キロと38万平方キロで、アメリカが日本の25倍。とにかく、アメリカは広い!!

交通機関の利用客数のうちバスはアメリカ50億人、日本43億人で、アメリカの方が少々多いものの大きな違いはなし。鉄道はアメリカ49億人に対し、日本252億人で、日本が5倍もあります。航空(国内線)はアメリカ8億1414万人、日本1億0187万人で、逆にアメリカが日本の8倍です。

データから読み解けるのは、国土が広いアメリカは、移動するなら航空機(データには出ていませんがマイカー移動も相当あるはずです)。鉄道が発達する日本と大きく異なる点です。

国の支援は日米ともに道路が中心

緊急事態宣言を受けた日米の鉄道利用客数の変化(資料:運輸総研 運輸政策コロキウムの発表資料から)

沖本研究員の発表資料に2020年1年間の鉄道旅客数の日米比較のグラフがあったので、再掲します。減少率の違いはあるものの、緊急事態宣言でガクッと下がったのは両国共通。コロナは人の動きを止めました。

次の円グラフは、アメリカ政府運輸省の2020年度870億米ドル(約9兆5400億円)の支出額の分野別内訳です。支出の6割は道路で、航空、公共交通(都市内のバスや地下鉄だと思います)が続き、鉄道は数字上は3%。ただしこれは連邦鉄道局単体の数字で、連邦公共交通局を合わせると一応必要な措置は講じられているようです。皆さんは、資料を見てどう感じますか。私は、「アメリカは日本のそっくりさん(本当は、日本がアメリカのそっくりさんなのかもしれませんが……)」と心の中で叫びました。

アメリカ政府運輸省の分野別支出額(2020年度) (資料:運輸総研 運輸政策コロキウムの発表資料から)

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