※2021年4月撮影

トップ画像は、久大本線由布院駅正面。建築家磯崎新さんのデザインに対する好悪はあるでしょうけれど、やはりこの極端なセンターボリュウムの効果は独特。「世界的建築家」にしか許されない大胆さです。

余談です。父親がサラリーマン建築家だったので(愚弟も同じ職業)筆者の身辺には子供の頃から建築写真集や建築雑誌が溢れていました。自分自身が西洋美術史を専攻したこともあって、建築には親しんできました。美術館を回るのが趣味ですが、建築を見て歩くのも好きです。【木造駅舎コレクション】もその一環です。

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老後の夢の一つが、アンドレーア・パッラーディオの建築を訪ねてゆっくりヴィチェンツァを巡る旅です。ヴェネツィアのレデントーレ教会も溜め息がでるほど美しいです。作家の塩野七生さんがレデントーレ教会を「本当に美しいものを見ることは人を絶望の淵から掬い上げる」と書いていました。16世紀のペスト禍(ヴェネツィア住民の三分の1が亡くなったと言われています)が終息したことを神に感謝するために作られた水上の教会です。近代的合理性とは無縁、美しさのためにだけデザインされています。

話を戻します。由布院駅、ウィークデイでしたが辻馬車はとても人気があります。

※2021年4月撮影

この角度で見る駅舎が好きです。跨線橋を含めた黒い木造建築が美しい。

※2021年4月撮影

ホームに戻って駅名標。イラストは由布岳と辻馬車。

※2021年4月撮影

由布院駅は1925年(大正14年)北由布駅として開業。1950年(昭和25年)由布院駅に改称。1990年(平成2年)駅舎改築。

今日何度目の逢瀬でしょうか。特急「ゆふいんの森」が来ました。臨時列車かな。辻馬車の周囲にいた女性たちは観光案内の研修だったのか、この臨時列車に乗り込みました。

※2021年4月撮影

ホームの久留米駅側に足湯があります。右下に久留米起点99.1kmのキロポスト。

※2021年4月撮影

「ゆふいんの森」が出発しました。

※2021年4月撮影

今度は跨線橋に上がります。倉木山(1155m)の方角。左、12mの吹き抜けは、パッラーディオの教会同様、退屈な合理性とは無縁です。

※2021年4月撮影

久留米駅方面は大きく左にカーブ。ホーム端部に写っているのは足湯です。

※2021年4月撮影

別の駅名標。イラストには「ななつ星」も。由布院駅はここまでにして、背後の大分行に乗ります。16時5分に出発しました。

※2021年4月撮影

南由布駅。1993年(平成5年)に改築された魅力的な木造駅舎があります。

※2021年4月撮影

17時に大分駅に着きました。

以上でJR九州久大本線の【木造駅舎コレクション】は終了です。次回は大分駅から豊肥本線で熊本駅に向かいます。

(写真・文/住田至朗)

※木造駅舎などJR九州さんの許可をいただいて撮影しています。

※鉄道撮影は鉄道会社、鉄道利用者、関係者などのご厚意で撮らせていただいているものです。鉄道は感謝の気持ちを持って撮影しましょう。