世界一の利用者数「新宿駅」西口駅前広場がこんなに変わる! “人中心の都市空間”に向け東京都が再整備計画を発表
東京都が2025年7月4日に、新宿駅西口駅前広場の車両動線と歩行者動線を大幅に見直す再整備計画を発表しました。2025年9月末以降に本格的な改修が始まり、世界最多の利用者数を誇る新宿駅周辺が、より安全で快適な人中心の都市空間へと生まれ変わることが期待されています。
課題は東西の移動のしくにさと老朽化
都心最大の交通結節点である新宿駅では、従来は東西の移動がしにくく、来訪者や通勤客の滞留空間が不足していたほか、駅施設や駅ビルの老朽化も課題となっていました。それを解消するための、整備計画が発表されました。

まずは線路上空に東西デッキを設け、広場内の車道を南北方向への通り抜け不可とすることで、歩行者が道路を横断することなくスムーズに東西を行き来できる新たな動線が整備される見込みです。

この取り組みは、2018年に策定された新宿の拠点再整備方針に基づき、2019年の都市計画決定、2021年の土地区画整理事業開始、2022年3月からの広場整備着手という段階を経て実施されています。都は新宿グランドターミナル構想の第一歩と位置づけています。
車両は西口大ガード方面からの直通ができなくなりますが、う回ルートへの誘導や一時退避エリアの設置で交通の円滑化を図り、新設デッキと吹き抜け空間により車道と完全分離された安全な歩行者回遊動線を実現するとしています。
現状および将来の西口駅前広場の平面配置

上が工事着手前の新宿駅西口駅前広場の平面図です。
下が将来形の平面図と断面図です。歩行者空間を薄緑色で示しており、現在はほとんどが車のための空間となっているところを地下に光が入るボイド(開口部)を中心として、歩行者のための滞留空間を広く確保されているのがわかります。

バス・タクシー乗り場を広場の南北に再配置することで、交通結節機能を強化するとともに、地下駐車場の出入口を新たにスバルビル跡地に設けることで広場内に流入する車両が抑制されることになります。
西口駅前広場の地下はどうなる?
西口広場の地下における道路と歩行者空間の平面配置を示した下図で、左が工事着手前の平面図、右が将来形の平面図になります。
歩行者空間が薄緑色で示されており、将来は地上と地下をつなぐループ車路を撤去し、地下駐車場の出入口を新たにスバルビル跡地に設けることで、地下部での歩行者空間も拡大するとしています。

将来は、駅との接点となり多くの人が行き来する場所に、歩行者用の広い空間が出きることがわかります。
人中心の都市空間を目指す
新宿の拠点再整備検討委員会が、西口駅前広場の空間構成や景観などについて引き続き検討を重ねる予定としています。これにより、世界一の利用者数を誇る新宿駅が、より安全で快適な人中心の都市空間として生まれ変わることが期待されるといいます。
なお、新宿駅にはJR東日本、京王電鉄、小田急電鉄、東京メトロ、都営地下鉄の5社が乗り入れており、各社路線を合わせた1日の平均乗降者数は約300万人に達し、ギネス世界記録にも認定されています。

広場に隣接する小田急線新宿駅では、2022年10月から小田急百貨店新宿本館跡地の解体工事が進められ、小田急電鉄、東京メトロ、東急不動産の3社が事業主体となる「新宿駅西口地区開発計画」としての再開発が行われます。

小田急単独でのB街区は地上8階地下2階の商業施設や新改札口を含む大規模リニューアルとなり、3社共同開発のA街区は地上48階地下5階の商業施設、事務所、駅施設、交通広場整備等の再開発となります。
いずれも、2029年度の竣工を目指しています。
また、その南側隣接地では、「新宿駅西南口地区の開発計画」が、京王電鉄とJR東日本により進められており、一部は2028年度、全体としては2040年代の完成を目指しています。
これらの計画の状況に関しては、別の機会でお伝えしていきます。新宿駅西口の地上に、多くの人が通行できる広いスペースが出来るというこの計画、今後の進捗を見守っていきましょう。
(TOP写真:PIXTA、画像:東京都)
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