混雑率トップは都営三田線、2位は東急田園都市線

国交省は、以前は混雑の激しいワースト区間の情報も公表していたのですが、さすがに今回はそうしたデータがないので、調査結果から混雑率上位区間を抜き出してみました(決してワーストという意味ではありませんので、悪しからず)。

混雑率129%のトップは都営三田線西巣鴨―巣鴨間、次いで126%が東急田園都市線池尻大橋―渋谷間、123%が東急東横線祐天寺―中目黒間と東京メトロ東西線木場―門前仲町間で、乗車率120%超は以上4区間(区間は単純表記していますが、正確には、朝ラッシュ1時間、西巣鴨から巣鴨方面行きといった通勤方向の利用状況です)。

気付かれた方もいらっしゃるでしょうが、JR東日本には混雑率120%超の区間が一つもありませんでした。最高は京浜東北線川口―赤羽間の118%。横須賀線武蔵小杉―西大井間の117%、中央快速線中野―新宿間の116%が続きます。

ADVERTISEMENT

2019年まで混雑率上位の常連だった総武緩行線錦糸町―両国間は、2020年度は111%。前年の194%に比べ、何と80ポイント以上も下がりました。何でこんなに下がったのか、リモートワーカーの方が多かったのか、並行する都営地下鉄新宿線に乗り換えたのか(新宿線西大島―住吉間の混雑率は118%で、総武緩行線を上回っています)。興味深いところです。

大阪圏や名古屋圏はダウン率が少ない

大阪圏と名古屋圏も、なるべく詳しく触れましょう。大阪圏は混雑率の平均103%ということで、東京圏の107%とは4ポイントしか違いません。

2019年度は東京圏163%、大阪圏126%で、37ポイントも差があったのが、コロナの1年で一気に縮まりました。東京圏にリモートワーカーが多かったのか、ひょっとしたら非正規雇用の方とか雇用調整が進んだのかもしれません。

混雑率最高は、JR片町線鴫野―京橋間の120%で、大阪メトロ梅田―淀屋橋間の116%、近鉄奈良線河内永和―布施間と阪急神戸線神崎川―十三間の114%が続きます。大阪圏は平均混雑率103%ということで、100%以下の線区もあります。対象20区間の最低は、大阪メトロ四つ橋線なんば―四ツ橋間の82%。この区間はメトロ御堂筋線なんば―心斎橋間と同一区間(並行路線)で、利用客は通勤通学に便利な御堂筋線にシフトしているのかもしれません。

名古屋圏は平均混雑率104%。最高は名古屋市営地下鉄名城・名港線東別院―上前津間の120%、最低はJR東海道線枇杷島―名古屋間の85%です。名古屋は、JRや名鉄の名古屋駅周辺より地下鉄栄駅付近の方が繁華街なので地下鉄が混雑するのかも。名港・名城線は小型車両での運行なので、その点も混雑率を押し上げます。

最も混雑するのは日暮里・舎人ライナー!?

数字上は混雑率全国トップの新交通システム「日暮里・舎人ライナー」。路線は日暮里―見沼代親水公園間の9.7キロで、都営地下鉄と同じく東京都交通局が運営します。2008年3月30日に開業しました(写真:うげい / PIXTA)

国交省は三大都市圏以外、JRや大手私鉄以外の混雑率も調査します。主な混雑区間は、新潟県のJR信越線新津―新潟間の135%、福岡県の西鉄貝塚線名島―貝塚間の129%、東京都の新交通システムの日暮里・舎人ライナー赤土小学校前―西日暮里間の140%など。

数字だけだと、最も混雑するのは日暮里・舎人ライナー、2位はJR信越線と、にわかに信じられない結果になるのですが、これは輸送力が小さいため。割り算の分母が小さいので、混雑率が高くります。

国交省は今回調査で、直近データとして2021年6月の主要駅の利用状況も公表しています。2年前の2019年を100とした指数で、JR東京駅49、東京メトロ日本橋駅55、都営地下鉄大手町駅58、JR大阪駅70、大阪メトロ梅田駅66、神戸市営地下鉄三宮駅69、名古屋市営地下鉄名古屋駅64、名鉄金山駅70など。こちらも大阪圏や名古屋圏の方が、回復が早いようです。