東京メトロが車両別の混雑率をアプリ配信

東京メトロの「号車ごとのリアルタイム混雑状況」。画像を文字情報のテキストデータに読み替えるところが技術上のポイントともいえそうです(画像:東京メトロ)

最後は、コロナでニーズが高まる「列車の混雑状況を、リアルタイムで知りたい」に応える取り組み。東京メトロは2021年7月14日から、丸ノ内線と銀座線で、車両単位の混雑状況を利用客のスマートフォンに配信する「号車ごとのリアルタイム混雑状況」の提供を開始しました。

東京メトロの地上駅に太陽光発電システムを設置する、横浜市の自然エネルギー会社・上野グリーンソリューションズと協業。メトロ駅に、走行中の列車を側面から撮影する特殊カメラを設置します。カメラは対象物までの深度(距離)を計測できるデプスカメラというタイプで、撮影データをAI(人工知能)解析して、概算の乗車率を割り出します。

デプスカメラと撮影画像イメージ。温度計測のためのサーモカメラ画像のように見えてしまいます(画像:東京メトロ)

これまでの混雑率は、乗務員の目視、駅カメラあるいは車両重量計で乗車率を概算する方式でした。しかし、目視は車掌が乗車する最後部の車両しか情報がつかめず、駅カメラは車両単位の混雑率が不明。重量計は相互直通運転するメトロ以外の車両では不正確という問題がありました。そうした課題を解決したのがリアルタイム混雑状況で、カメラ撮影してから、10秒程度で配信できるそうです。

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東京メトロは2021年度内をめどに、全路線にデプスカメラを設置して、混雑情報の提供を開始します。利用は「東京メトロmy!アプリ」から。アプリ画面では、列車走行位置画面の列車アイコンをタップすることで、実測した混雑状況と、それを用いて予測した対象列車の混雑予測情報を号車ごとに確認することができるそうです。

文:上里夏生