東海道線 米原~神戸、山陽線 神戸~網干、大阪環状線、阪和線 天王寺~日根野は、細かい範囲で震度を推定できる鉄道地震被害推定情報配信システム「DISER」を導入した。

鉄道総合技術研究所(鉄道総研)が開発した DISER(ダイザ―/Damage Information System for Earthquake on Railway)は、従来の鉄道地震計よりも細かい範囲での推定震度を確認することで、駅間での降車が減少する効果が期待できる。

従来の鉄道地震計は、計測した震度を約40kmと広い範囲に適用していたなか、今回の DISER では、500m(0.5km)ごとの震度を速やかに計算できる。

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また、鉄道地震計の計測値による「規制区間別路線図」で「停止規制であること」を確認した乗務員は、より細かい震度を推定できる「DISER 路線図」を確認し、その規制レベルに応じた具体的取り扱いで対応する。

面的・沿線の揺れ推定を表示、構造物被害を推定

DISERは、地震直後に気象庁の緊急地震速報および防災科研との協定にもとづき直接提供を受けた K-NET データを用いて、沿線の地震の揺れや構造物の被害推定結果など、早期の運行再開に役立つ情報を配信するもので、2019年8月から鉄道総研が運用している。DISERの機能は次の4つ。

(1) 面的な揺れの推定および表示

地震直後に面的な揺れの分布を 500m 間隔で推定し、地図上に地震動指標(警報用最大加速度)を表示。表示された地図は拡大・縮小が可能。

(2) 沿線の揺れの推定および情報提供

鉄道路線沿線の揺れの推定結果の情報を、登録事業者へ迅速に提供。情報は鉄道の地震時運転規制に適用されている地震動指標(警報用最大加速度、SI 値、計測震度)により提供。この情報は、横軸にキロ程、縦軸に地震動指標となり、対象とする鉄道路線の沿線の揺れをすばやく詳細に把握することができる。

(3) 構造物被害の推定および情報提供

事前に登録した構造物情報と(2)で得られる鉄道路線沿線の揺れの情報を用いて、地震直後にすばやく被害ランク(構造物毎の被害の程度)を推定し、登録事業者へ迅速に提供。対象とする構造物の種別は橋りょう、高架橋および盛土で、被害ランクは4段階で表示される。この情報も、横軸にキロ程、縦軸に被害ランクとなり、面的な揺れの推定結果に、構造物の被害ランクの推定値を重ねて表示することもできる。

(4) 過去に発生した地震の被害推定結果の検索

類似の構造物の被災状況等を復旧の参考資料とするために、過去に発生した地震による被害推定結果の検索機能がある。

画像:JR西日本
記事:鉄道チャンネル(https://tetsudo-ch.com/