電車サウナ、にぎわい、手焼き煎餅体験ーー千葉県銚子市で鉄道三昧 銚子電鉄の底力を実感【コラム】
竹本銚電社長熱く語る
電車サウナでは参加者の心を熱く燃やす、もう一つのプログラムが用意されました。銚電の竹本勝紀社長の「熱いお話」。たび重なる経営危機を逆転の発想で乗り切るとともに、地方鉄道の必要性を、魂を込めて語る竹本社長の講話、参加者の心に深く刺さったはすです。
竹本社長の講話、最大のポイントは、「自虐ネタは他人を傷付けない」。確かに、「電車屋なのに自転車操業(涙)」とか「まずい棒。マズいのは経営状況です」とか、銚電のコピーは秀逸な自虐ネタのオンパレードです。「自分で自分を笑い飛ばすユーモア」と竹本社長。ウソかマコトか、まずい棒のわさび味は、電車の「わっ、錆(さび)」から思い付いた、なんて話もしていました。
講話で明かされた企画中の新商品は「チキンカレー」で、そのココロは「資金枯れる」だそう。確かにですが、ちょっと苦しいような気も。銚電ファンの皆さん、カレー好きの皆さん、もう少々お待ち下さい。
目指すは「日本一のエンタメ鉄道」
竹本社長の話でもう一つ、心に残ったのは「日本一のエンタメ鉄道を目指す」のフレーズ。「ライバルは同じ千葉県の某有名テーマパーク」とも話していました。
地方鉄道で人気のグルメ列車、銚子―外川間は往復40分程度で、ゆっくり食べている暇はありません。だから銚電がやるのは車内イベント。電車プロレス、お化け屋敷電車、イルミネーション電車――。やれることは何でもやります。ただ、イルミは予算の関係で全色ピンクという点が笑えます。
2023年に創業100年
竹本社長は、まじめに鉄道の存在意義も語りました。一時期は10万人あった銚子市の人口は現在6万人。学校の統廃合が進み、電車を利用する通学生が増えています。
乗客がピークになるのは、実は元旦。沿線の犬吠埼は日本で最も早いご来光を見に多くの観光客が訪れます。バスだけではとても運びきれません。銚電の創業は1923年。「2年後には創業100年。これからもずっと電車を走らせたい」と力強く語り掛けました。
2両編成の電車は観光客で満員
電車サウナ終了後は時間があったので、終点の一駅手前、犬吠まで往復しました。緊急事態宣言解除の効果もあるのでしょうか、車内は立ち客もいるほどの混雑で、物販店のある犬吠駅もにぎわっていました。
乗車した仲ノ町駅で、たまたま見掛けた光景。家族3人、マイカーを利用して銚子を訪れた親子連れ、未就学のお子さんは電車好きのようです。仲ノ町駅で電車を見て大喜び。そこで、仲ノ町から犬吠までお母さんと子どもは銚電に乗車。お父さんはクルマと移動手段を分けました。
最近、駅で子どもたちの姿をあまり見掛けなくなりました。しかし、電車好き、鉄道好きの子どもたちの心を育てれば、将来の鉄道の生き残りにつながるような気がしました。