かつての銚電の電車と同じ塗り分けの「ぬれ煎餅駅」

さて、今回の銚子紀行にはもう一つの目的がありした。銚電の「ぬれ煎餅駅」訪問。もちろんそんな鉄道駅はなく、正体は銚電のぬれ煎餅工場に併設された〝道の駅〟です。

銚子駅から南西に約7キロ、千葉市と銚子市を結ぶ国道126号線沿いにある2階建てのビル。外装は1階が朱色、2階が黒のツートンカラーで、鉄道ファンしか分からないかもしれませんが、かつての銚電の電車と同じ塗り分けです。

ぬれ煎餅駅。国道を走るクルマからも目に付くデザインで、多い日には100人近くが来店します

銚電はぬれ煎餅の製造開始時、本社を置く仲ノ町駅で煎餅を焼いていたのですが、売り上げが伸びて手狭になったため、市中に製造工場を開設。2014年に工場に併設して直販店を開設しました。

ぬれ煎餅を手焼きする

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販売するのは、こわれ煎餅など駅限定の商品。銚子港の海産物はじめ、土産品も一通りそろいます。

もう一つの売り物は、煎餅の手焼き体験。「最初は頻繁に裏返します。ある程度焼けたら、へらを押し付けて、煎餅を平らに伸ばします」と親切に教えてくれるので、誰でも上手に焼けます。

手焼き煎餅体験。「うまく焼けるかな」と親子連れは興味津々

手焼き体験コーナーは、かつて犬吠駅にもあったのですが、現在はぬれ煎餅駅だけ。鉄道ファン的には、銚電歴代のポスターが展示されているので、一見の価値はあるかも。ただし国道沿いなので、マイカーかレンタカー利用の方でないと訪問は難しいかもしれません。私は銚子駅からレンタサイクルを利用しました。

以上で、銚子訪問記は終了。路線規模や経営状況はさておき、銚電がしっかりと地域で存在感を発揮しているのを見聞できたことが、最大の収穫でした。

記事:上里夏生