北陸新幹線の到着を待ちわびるJR福井駅。ガラスの壁面や細長い木を並べた木彫ルーバーなどが特徴だ

2023年度末に予定される、北陸新幹線の敦賀延伸開業まで残すところ2年余。高速鉄道新時代が間近に迫った福井県では、観光振興・再生の動きが活発化している。

JR西日本と福井県、それにJTB、日本旅行、KNTーCTホールディングスなどの旅行会社はこのほど、「福井県観光開発プロジェクト」を発足させ、首都圏と関西圏を主なターゲットにした旅行客の誘致体制を始動させた。

福井県が目標にするのは、2015年3月の新幹線金沢延伸開業時、隣接する石川県で起きた観光ブームの再来。JR西日本などによると、新幹線利用客は在来線特急時代の3倍弱に増え、兼六園や能登半島といった石川県内の主要観光地の入り込み客数は大きく伸びた。

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現在、福井を訪れる観光客は多くが距離的に近い関西発。福井県、県内観光関係機関、JR西日本、旅行会社が力をあわせながら、新幹線開業を機に首都圏からの観光客を増やすのがすべての基本といえる。

福井の観光では、著名スポットがない点は県や観光関係者も自認する。目指すは観光のブランド化。勝山市の福井県立恐竜博物館や、福井の食を代表する越前ガニなどを発信して福井観光をイメージ付ける。

観光開発プロジェクトでは、新しい観光素材の発掘や従来からの観光メニューをレベルアップ。新幹線を先取りする形で、旅行会社関係者を対象にしたファムツアー(視察旅行)も予定する。

プロジェクト発足発足では、関係者が福井市内に集合し、福井の観光新時代のキックオフを確認した。

写真:鉄道チャンネル編集部
記事:上里夏生