犬吠崖っぷちラインのニューエース・観光列車「次郎右衛門」(22000形)。出発式でヘッドマークを掲出する竹本勝紀社長(2025年3月1日、仲ノ町。筆者撮影)

「4月1日なので、てっきりエイブルフールかと思ったらマジだった」と、鉄道ネットニュース界わいをザワつかせているのが、千葉県銚子市のローカル私鉄・銚子電気鉄道(銚電)の路線名。これまでの銚子電気鉄道線の正式名とは別に、「犬吠崖っぷちライン」の愛称名を付けた。

銚電のセールスポイントといえば、沿線に広がる田園風景や2024~2025年に2編成4両が導入された〝関西からの新車・旧南海の22000形電車〟などなど。そしてもう一つが、厳しい経営環境を逆手に取った数々の自虐コメントだ。

【参考】世界遺産・高野山に駆け上っていた南海「ズームカー」が観光列車「次郎右衛門」に生まれ変わって銚電に降臨(千葉県銚子市)【コラム】
https://tetsudo-ch.com/12997605.html

「鉄道会社なのに自転車操業」、「まずい棒。まずいのは味じゃなく経営です」といったユーモアたっぷりのフレーズは、銚電の名を全国に広め、ファンを増やしてきた。

そんな銚電に満を持して登場したのが愛称名。鉄道会社の路線愛称名はJR琵琶湖線(長浜~京都、JR西日本)、JR宇都宮線(東京~黒磯、JR東日本)、東武スカイツリーライン(浅草・押上~東武動物公園、東武鉄道)などが広く浸透。ファンに親しまれる。

銚電の崖っぷちライン、もちろん厳しい経営状況を自虐的に言い表したネーミングながら、沿線には犬吠埼灯台が建つ犬吠埼、景勝地の屏風ヶ浦など本物のがけもある。

愛称名の期間は2025年4月1日~2026年3月31日の1年間(予定)。掲示類では、自社の各駅や車内、JR銚子駅構内の駅案内・きっぶ売り場などで使用する。アナウンスは自社に加え、JR東日本千葉支社の協力で、 JR特急「しおさい」の銚子駅到着時アナウンスにも使う。

「犬吠崖っぷちライン」のロゴマーク。崖っぷちが〝赤字〟なのにご注目(資料:銚子電気鉄道)

崖っぷちラインのテーマソングが、歌手・永江理奈さんの「崖っぷち/チャンス」。2025年1月発売のデビューシングルで、犬吠駅売店やオンラインショップで取り扱う。

記事:上里夏生

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