田園都市線の駅を起点にさまざまな主体がつながる東急の「次世代郊外まちづくり」=イメージ=(資料:東急)

大正年間に始まる大田区田園調布をトップに、およそ1世紀の歴史を持つ東急のまちづくり。最近、継続的に力を入れるのが田園都市線のたまプラーザエリアで、年度替わりにあわせて2022年4月、地元横浜市との「『次世代郊外まちづくり』の推進に関する協定」を更新。これまでのキーワード「田園都市で暮らす、働く」に、新しく「楽しむ」を加えて再スタートを切った。

東急(当時は東京急行電鉄)と横浜市は、2012年にまちづくり協定を締結。以来、5年ごとに協定を見直し、2回目の更新。3回目の今回は2027年度まで、前回と同じく5年間の方針を定めた。

対象エリアは、たまプラーザ駅北側に広がる横浜市青葉区美しが丘一帯。協定更新で打ち出したのが、「暮らす、働く、楽しむ住宅地」「モデル地区から沿線展開」「4つの地域循環の創出」の3項目だ。

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新しいキーワードが「楽しむ」で、テレワーク普及など地元で過ごす時間が増えている環境変化を考慮して、オープンカフェ、里山キャンプ、地産地消マルシェなどを開設。地域のさまざまな主体がお互いを知り、活動を認識することで、地域の魅力に相乗効果を生む。

地球環境重視の時代に打ち出したのが地域環境の創出で、脱炭素のサステナブルライフの新しい暮らし方を提案。住民、学校、企業、行政が一緒に考える、トークセッションやワークショップなどのイベント「トークフェスタ」を開催する。

たまプラーザエリアでは2021年7月、青葉台駅周辺に交流に就労機能を兼ねそなえた施設を整備。地域のリーダーが、社会人経験を生かして交流や就労、起業を無償支援する、地域振興の新しい取り組み「プロボノ活動(ラテン語の『公共善のために』に由来)」を実践する。

東急と横浜市は今回の協定更新を機に、産学官が有効に連携する「次世代郊外まちづくり」の実効性を高める。

記事:上里夏生